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Jリーグ 7年前

監督・宮本恒靖が追う「勝利と育成」の二兎。クルピとのビジョン共有で見るガンバ大阪の未来

text by 藤江直人 photo by Getty Images for DAZN

「自分の経験という強みを生かせるものは何か」

 2011シーズンの終了後に現役を引退した宮本は、コーチングライセンスの取得を目指すとともに、2012年夏には国際サッカー連盟(FIFA)が運営する大学院「FIFAマスター」に第13期生として入学。スポーツに関する組織論、歴史や哲学、法律などを学んだ。

 入学当時はまだ35歳。指導者以外にも自らの可能性を広げたい、という熱き思いが伝わってくる。2013年7月にはFIFAマスターを晴れて修了。元プロサッカー選手の卒業生は歴代でも2人目で、元Jリーガーとしてはもちろん初めてとなる快挙だった。

 2014年にブラジルで開催されたワールドカップには、選手とは異なる立場で関わった。FIFAが指名した10人のテクニカルスタディーグループの1人として、ブラジル大会における技術や戦術、傾向などを分析し、試合ごとや大会全般のリポートを作成した。

 同時にJリーグの特任理事にも就任。議決権こそ持たないものの、リーグ運営の円滑化を目指して意見を提言した。そのままJリーグあるいは日本サッカー協会(JFA)における仕事に携わっていくのでは、と思われていた矢先の緒2015年から、愛着深い古巣・ガンバへの復帰を決断する。

「自分の経験という強みを、あのタイミングで生かせるものは何かと考えていました。選手を辞めて間もないなかで伝えられることもたくさんあると思っていましたし、以前から指導者にもチャレンジしたかったので。もちろんFIFAマスターで学んだもの、見たものも大事にしながらそれだけにとらわれずに、いろいろな可能性を探りたいというのはありました」

 U-13のコーチを皮切りにユース監督、U-23チーム監督、そしてトップチームのコーチとの兼任と年を重ねるごとに、仕事の量も質も変わってきている。同時にやりがいも増していると、41歳になった宮本監督は再び笑った。

「昨年よりは見なければいけない(選手の)数も多いし、自分の判断基準というものも、トップの選手たちを見ているなかで、求めなければいけないところも違ってくる。もちろんクルピ監督の哲学なども学びながら、プラス、チームをよくしていくために自分に何が言えるのかを考えるとか。いろいろありますけど、楽しくやっています」

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