曖昧な部分を詰められるか。世界仕様の守備を築くために
各大陸でワールドカップ出場権を獲得できなかったレベルのマリやウクライナにも意図的に崩されてしまう場面があまりに多いですよね。ワールドカップでは対戦相手のレベルが今までよりも一段階、あるいは二段階上がるわけですから、それに対してどう対処するのか詰めていかなければいけません。
ウクライナが意図的に中盤を広げてFWを落とし、中と外をバランス良くを使っていったように、対戦相手はワールドカップに向けてスカウティングを進めて日本を見ながら工夫してきます。
両ボランチを動かされて割られてしまうと真ん中が空く。アジアの国との対戦でも見られましたが、ウクライナ戦でもセンターバックの前が異常なほど空いている状況ができていました。結局、そこを使われて崩されることがないので誤魔化されてきただけなんです。それをどうするのか。真ん中のスペースを埋めてしまうと誰かが空いてしまう。では、空いた時はどうする…というところまでセットで考えなければいけません。ワールドカップ仕様のチームを作るには、曖昧になっていた部分をどこまで詰めていけるかが重要になると思います。
例えば、ウクライナのセンターバックのようなフィード能力のある選手たちがヨーロッパにはたくさんいます。ウクライナは両サイドに大きく蹴ってもゴール前に人が多いわけではなかったですが、ポーランドの場合は(ロベルト・)レバンドフスキがいますからね。チーム内でどこまでやらせて大丈夫で、どこからがダメなのかハッキリさせなければいけません。結局、1人ひとりが頑張るだけでは限界があります。
今回、両チームの守り方は対照的でした。日本は人を基準に、ウクライナはボールに基準に動きます。もちろんどちらにもメリット・デメリットの両面があります。ウクライナは守備の際にサイドバックが孤立しがちでした。ただ、日本はそこを一気に突くような攻撃をあまり打ち出せませんでした。
一方、ウクライナは日本のデメリットをどんどん出させるやり方に変えていっていました。日本はウクライナに対して有効な手が全然打てていないので、相手のデメリットが見えないのに、自分たちのデメリットばかりが見えてしまったんです。
メリット・デメリットは両チームにありますが、自分たちのデメリットの消し方を用意しておく。そして、相手のデメリットに対して、その突き方を整理してどんどん突いていく。相手を分析して終わりではなく、その有効打を具体的にピッチに落とし込みながら戦えなくてはならないと思います。
(分析:岩政大樹、構成:編集部)
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