ゲームメーカーとして描くゴールへのビジョン
彼の中では手応えがあるが、そこからゴールに直結するシーンを作り出すには味方とのアイデアやイメージの共有がカギになる。ウクライナ戦ではその部分でもう1つ先に進められなかった形だが、「連係はもちろん足りなかったと思いますけど、あんまり心配してなくて、そこは合宿もありますし、十分に詰めていける」と柴崎は語る。
「まずはそこまでどう運んでいくかというのを、そこまでいけなければどうにもならないので、今日もサイドチェンジが大きな武器になっていたと思いますし、そこからの展開はもうちょっと詰める必要があるかなと思います。そこにスペースがあるのか、どこで時間を作るのか。できている部分もあった」
トップ下のポジションはボールを受ければそこからチャンスに直結する仕事ができるが、鹿島アントラーズ時代にやっていたボランチと違い、自分から組み立てていくことが難しい。「本当はもう少し低い位置でも受けたいなと思っていますけど、そこは様子を見ながら」と柴崎はビジョンを描く。
「今日であれば長いサイドチェンジのボールもセンターバックから出ていた印象があったので、もっとそういった展開をボランチの位置から思い描いてプレーしてくれれば、もうちょっといい展開になるかなと思いますし、僕のポジションに求められているのはその後の展開だと思う」
そうした展開を引き出すためにも、高めのポジションで良い動き出しをしながらボランチのパスを引き出すことが大事になる。
「彼らボランチのところをサポート、手助けしながらいい状態で受けてもらって、展開してその後というイメージはあります。まあ、まだもうちょっと実感が必要かなと。僕がやりたいことを周りに伝えたいというのはあります」
もともと自分のことを“ゲームメーカー”として認識していた柴崎。現在のポジションになっても、基本的なビジョンは変わらないはずだ。試合の中での高い洞察力はハリルジャパンが攻撃のクオリティを高めるための大きな武器になりうる。序盤にはバイタルエリアから味方へのパスを選択したシーンがあった。試合の中でチームとしてシュートが少なかったことを認めるが、そのシーンについては柴崎なりの見解がある。
「パスを選択する方向性というか、個人の判断でより空いているところを選択したつもりですし、ミドルシュートはもちろんありましたけど、相手が寄せてきたので、寄せてきて空いたスペースを使ったというのはあります。まあ受けた選手が僕よりは余裕を持って選択できるプレー時間があった」