如実な個人能力の差。ウクライナを止め切れず
23日のマリ戦(リエージュ)の1-1ドローでチーム全体が危機感を募らせる中、必勝を期して挑んだ27日のウクライナ戦。同じリエールのスタッド・モーリス・デュフランに冷たい雨の降りしきる中、日本は4日前のゲームよりいい入りを見せた。
開始6分にはトップ下で先発した柴崎岳(ヘタフェ)が中盤の高い位置で奪ったボールを右サイドの本田圭佑(パチューカ)に展開。この折り返しに原口元気(デュッセルドルフ)が飛び込む惜しい形を作る。18分にはセンターバックで初先発の植田直通(鹿島)が思い切ったロングシュートを放つなど、得点意欲を押し出す。序盤20分間は悪くない出足だった。
しかし21分、最終ラインから攻め上がってきたウクライナのDFヤロスラフ・ラキツキー(シャフタール)のミドルシュートが植田の頭に当たってオウンゴールを献上すると、日本は劣勢を強いられる。
エフゲン・コノプリャンカ(シャルケ)のスピードと技術に酒井高徳(ハンブルガーSV)がに翻弄され、中盤も数的不利に陥るなど、自分たちのペースにできない。それでも前半終了間際、柴崎のフリーキックに槙野智章(浦和)が頭で合わせて1-1に追いつき、かすかな希望の光が差し込んできた。
後半に入ってヴァイッド・ハリルホジッチ監督は小林悠(川崎F)、久保裕也(ヘント)ら攻撃の持ち駒を送り出し、攻めの圧力を加えようと試みる。だが、再びコノプリャンカの傑出した個人能力から決勝点を奪われてしまう。
酒井高徳がアッサリと抜かれ、カバーに行った山口蛍(C大阪)、植田までもが止めきれず、マイナスクロスを入れられる。これに反応した右サイドバックのオレクサンドル・カラファエフ(ゾリャ・ルハンスク)が右足を一閃。さすがの川島永嗣(メス)も止めきれなかった。「やっぱり個ではがしていく選手の重要性を痛感した」とベンチで見ていた宇佐美貴史(デュッセルドルフ)も神妙な面持ちで話したが、強烈なタレント力に屈する形になった。