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日本代表 7年前

【岩政大樹×マリ戦】ハリルJに足りなかったワイドな攻めへの対応力。磨くべき世界仕様の距離感

シリーズ:岩政大樹×〇〇 text by 編集部 photo by Getty Images, Kenzaburo Matsuoka

世界仕様には達していない日本代表の「距離感」

 守備のベースとして相手の出方に合わせてポジションを作るとなると、マリ代表はビルドアップ時に横へ広がっていきますので、日本の選手同士の距離感も横に広がります。ずっと両サイドが横が広がっている状態になるとそれぞれの距離感が遠いので、1人がマークを外された時にどうしても次のカバーが来るまでの時間が必要になってしまいます。

 そうするとだんだん時間を追うごとにマリの選手が日本の選手をかわしていくような場面が見えてきました。確かに「対応した選手が1対1でついていけ」という話になるかもしれませんが、それでアフリカ人選手に対抗していくのは、現時点では難しかったということになります。

 狭いスペースでは日本人の俊敏性などが生きますが、あれだけの広いスペースになるとどうしても1対1のデュエルはさすがに難しくなり、ストライドの広いマリの選手にぶち抜かれてしまうシーンが増えてしまいました。セネガルとの対戦を想定するのであれば、あの伸びにどう対処するかでしょうね。

 相手選手の動きによってポジションを決めるやり方で守備を構築するのであれば、当然距離が空いていくことが選手たちの頭に入っていなければいけません。局面によって当然距離感を変えなければいけないですし、カバーのポジションも変えなければいけなくなります。距離感が遠いという前提条件の中で、アフリカの選手たちはグッと伸びてくることもイメージしながら守備をしなければいけないと思います。マリ戦ではその部分の感覚や距離感を掴めていない部分はあったかもしれません。

 全体をワイドに広げて攻めるのはサッカーの基本です。当然守りづらくなりますので、アフリカのチームでなくてもそうしてくると思います。それに対して日本はもう少し距離を詰めないといけないですよね。ピッチの大きさは決まっていますし、11人でサッカーをするのは決まっています。これが12人になったらもう少しスペースをカバーできるんですけど、11人ってすごく上手い人数になっていて、全体が縮まろうとすれば空いてしまうスペースがあるし、広げようとすれば1人ひとりの距離が空いてしまうんです。

 この距離感をどの場面で縮めてどの場面で広げるかという調整がが鍵になってくると思いますが、そのバランス感覚がまだ世界仕様になっていないと感じています。今の距離感はアジアだったら日本代表選手の個のレベルが高いので1対1でも対応できますが、ヨーロッパやアフリカの選手と対戦して個々で勝てなくなった時に、どの場面でチーム全体で選手間の距離を縮めるのかをもう少し詰める必要があります。

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