「今、修正しないと手遅れになって終わりますよ」(長友)
ロシアワールドカップ・アフリカ予選敗退国に苦杯という最悪のシナリオが現実味を帯びつつあった。そんな後半アディショナルタイム、中島の起死回生の同点弾が生まれ、何とか1-1に追いつき、敗戦だけは免れた。本田も「唯一の収穫は負けなかったことくらい」と語ったが、前向きな材料の極めて少ないテストマッチになってしまった。
「今日はボールを取った後の精度がかなり低かった。もちろん戦術とかもありますけど、選手個人個人がクオリティの部分にフォーカスしないと。ホントにミスが多かったし、局面局面で簡単にかわされたり、球際で負ける部分も多かった。サッカーはそこが大前提。それを痛感するゲームになったと思います」と長谷部は語る。
一方で、途中からキャプテンマークを巻いた長友佑都(ガラタサライ)も「もう(チーム作りの)期間もないし、試合数もないわけで、伸びしろなんて言ってられる期間ではない。今、修正しないと手遅れになって終わりますよ」と苦言を呈した。国際Aマッチ100試合超えのベテラン2人がここまでストレートに危機感を口にするのは、3年間のハリルジャパン体制を通じて初めてかもしれない。
実際、ロシアワールドカップまで残された時間は3ヶ月足らず。本番前のテストの機会も27日のウクライナ戦(リエージュ)を含めて4試合しかない。それだけ追い込まれているのに、指揮官は依然として選手のテストに軸足を置いている。
「コンディションのいい選手を使う」と公言しているハリルホジッチ監督だから、ギリギリまで見極めを続けることを第一に考えるのも理解はできる。しかしながら、長友が「(左サイドのタテ関係を)宇佐美とやったのが久しぶりだし、中島とは初めてだった。そういう状況だとコンビネーションで崩すのは簡単じゃない」と苦悩を吐露したようにメンバーをコロコロ変えれば変えるほど、チームの完成度を高めるのが難しくなる。
最終予選で軸を担った大迫、久保、長谷部らが揃っていた前半はまだ形になっていたのに、後半に入って個の勝負一辺倒になりがちだったのも、選手同士の連係やコンビネーションがないからだ。群を抜いた身体能力と打開力を誇るマリのような相手に個の力だけで挑んだところで、日本は勝てない。相手がセネガルになればなおさらだ。