ロシアの地で輝くために、今必要なこと
実際、最近の日本代表はサイドから思うように点が取れていない。久保もちょうど1年前のワールドカップ最終予選・UAE(アル・アイン)&タイ(埼玉)2連戦で2ゴール3アシストという華々しい結果を残した後、スランプに陥っているし、左サイドをけん引した原口元気(デュッセルドルフ)も2017年はノーゴールに終わっている。
今回招集されている宇佐美貴史(デュッセルドルフ)と中島翔哉(ポルチィモネンセ)は、全くの未知数と言わざるを得ない。サイド攻撃は今のチームの生命線といっても過言ではないだけに、百戦錬磨の本田がメリハリをうまくつけながら、周りを使って自分も生きるような頭脳的な仕事をしてくれれば、停滞感の漂う日本の攻めが活性化されるはずだ。
「(自分が)ここからしっかりワールドカップの切符を手にするには、当然ながら結果も出さないといけない。この2試合どちらかでチャンスはもらえるはずなので、何かしらのインパクトを残さないと厳しい可能性はある」と本人も語気を強めたが、その言葉通り、ロシア行きを確実にするような結果に強くこだわるべきだ。
その最優先課題をクリアして初めて「ワールドカップで勝つために何をするか」という長年、胸に抱き続けてきた真の命題と対峙できる。南アフリカとブラジルで天国と地獄を味わってもなお、3度目のワールドカップに挑み続けてきたのは、強い日本代表を世界に見せつけたいから。
かつては「ワールドカップ優勝」という壮大な野望を口にしたほど、彼の中には燃えるものがある。その思いをロシアという4年間暮らした場所で結実させるためにも、直前のテストマッチにおけるサバイバルで敗北を喫するわけにはいかない。昨年9月の最終予選ラストマッチ・サウジアラビア戦(ジェッダ)とは別人のような変貌ぶりを人々の目に焼きつけると同時に、結果のインパクトでハリルホジッチを唸らせてほしいものである。
(取材・文:元川悦子【リエージュ】)
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