際立つ“黒子”の貢献度。森保ジャパンにも選出
大分やベルギーで苦しんだ日々は無駄ではなかった。それはプレーを見ても明らかだ。持ち前の危機察知能力や優れた判断力には磨きがかかっている。今月17日の横浜FC戦でも、中盤で常に首を振って周りとのバランスをとり、空いたスペースを速やかに埋めていく。試合の展開を先読みする力は研ぎ澄まされていた。
象徴的だったのが後半、横浜FCがレアンドロ・ドミンゲスを投入したことで新潟のマークが若干曖昧になった。そんな場面でも坂井はすぐ異変に気付き、変幻自在のL・ドミンゲスを警戒。身長167cmと小柄だが、2手先、3手先を読んでブラジル人アタッカーへのパスコースに入り、ヘディングのクリアでピンチの芽を摘んだ。
そして今季は攻撃面での進化も目指している。「最近よく攻撃参加のイメージ映像を見せてもらっているので、今日は攻撃参加を意識してやりました。この前の京都戦は、ミスはなかったんですけど、後ろでちょっとリズム作るだけだったので、今日はどんどん前に絡んでいこうという気持ちでやりました」と坂井は語る。
その通り、基本的には中盤でバランスをとる動きを見せながら、時折相手の隙を見て前線に攻め上がっていく坂井の姿がニッパツ三ツ沢球技場のピッチにあった。一見するだけでは試合から消えているようにも感じる選手だが、対戦相手からすれば憎い動きをしている。そんな姿が、やはり坂井の真骨頂である。
新潟でコンスタントな出場機会を得たことで世代別代表にも復帰した。森保一監督に率いられて東京五輪を目指すU-21日本代表のパラグアイ遠征メンバーに選ばれた。今年1月のAFC U-23選手権出場を逃して「焦りは全然なかった」とは言うものの、「(代表に)選ばれるのは名誉なこと」と久々のサムライブルーでのチャンスに喜びを隠さない。
ただ、坂井がチームを離れる間に新潟はリーグ戦2試合を戦う。それには「ちょっと複雑だった」と明かすが、「この2試合はチームメイトを信じるしかない。今日(横浜FC戦)を入れて3連勝してもらって(注:新潟は21日の愛媛FC戦に0-1で敗れて今季初黒星を喫した)、帰ってきて熊本戦でしっかり結果をのこせたら」と信頼するチームメイトに勝利を託した。