「120%で練習に取り組めていたから今がある」
坂井本人も「僕にも(理由は)全然わからないです。3、4ヶ月くらいずっと下りなかった」と語るビザ問題。ベルギーは外国人選手に対して広く門戸を開いていることで有名なうえ、テュビズには数多くの外国人選手が在籍している。それでも日本からやってきた若者は輝ける場所を失ってしまった。
「最初の1、2ヶ月くらいは試合にも出て、ベンチにも入ったりしていました。そこからビザが下りずに、どんどん紅白戦も『入れられない』状況になってしまって。監督からも『ビザが下りないからやっても意味ないだろ』という感じで外されて、メンタル的にもきつい時はあったんですけど、あの時はしっかり自分で持ちこたえて、今ベルギーでしかやれないことをやろうと思っていたし、球際だったり、攻撃に絡んでいくことを意識していました。日本に帰ると決めたときに、リーグ戦にしっかり出て、新潟のために勝ち点3を獲って、自分のプレーをどんどん前に出していければなって。そういう意識はだいぶ変わったかなと思います」
坂井は欧州での挑戦を道半ばで諦めざるをえなかった。それでも、今季から所属する新潟では過去にないほど充実した日々を過ごせている実感がある。大分時代はプロ入り後の2年半でリーグ戦には19試合しか出場できなかったが、新潟では開幕からセントラルMFのレギュラーとして継続した出場機会を得ている。
「やっぱり練習試合では絶対に味わえない、緊張感が違う。その中でやれたこと・やれないことが試合を通してどんどん積み上がっていく。課題が出たり、成果が出たり、それを自分で考えながら次の試合に向けて、体のコンディション的なところもそうですし、しっかり調整できている。今は本当に順調に来ているので、大分の時もベルギーの時も含めて、(試合に)出られない時にも120%で練習に取り組めていたから今があるのかなと。今に満足せず、僕は今、新潟をJ1に戻すことしか考えていないので、新潟のために勝ち点3を取れるよう頑張りたいと思います」