U-20W杯で味わった悔しさを胸に欧州へ旅立つが…
坂井大将は、常に同世代のトップランナーとして注目を浴びてきた。高校3年生で大分トリニータのトップチームで公式戦デビューを果たし、世代別代表でも中心選手として世界を相手に戦ってきた。
2014年にはブラジルワールドカップに臨む日本代表のトレーニングパートナーに選ばれ、杉森考起(現FC町田ゼルビア、当時名古屋グランパス所属)とともに本大会の空気を体感した。同年、英紙『ガーディアン』の選ぶ18歳以下の「世界の次世代を担う若き才能40人」に日本から唯一選ばれたのも坂井だった。
世代別代表でもU-17ワールドカップを経験し、持ち前のキャプテンシーで誰からも頼られる存在だった。しかし、U-20ワールドカップで壁に当たった。グループリーグ初戦の南アフリカ戦にキャプテンマークを巻いて先発出場したものの、第2戦のウルグアイ戦からはベンチスタートに。第3戦のイタリア戦、決勝トーナメント1回戦のベネズエラ戦は出番がなく、日本の敗退をベンチから眺めることとなった。
U-20ワールドカップのグループリーグを終えた直後、坂井はこんなことを言っていた。
「普段日本にいると感じられない部分が多い。意外なところから足が出てきたりとか、意外性があったりとか日本では感じられない部分をこういう舞台で感じられるので、この経験を次の舞台にも生かすことが大事だし、ここを機に成長していきたいと思います」
そして2017年8月、坂井は「次の舞台」へ旅立った。世界を知り、自らのブレイクスルーを期して欧州へ。大分トリニータからベルギー2部のAFCテュビズへ期限付き移籍を決断する。だが、そこで待っていたのは予想だにしないトラブルだった。
加入直後からベンチ入りして3試合に出場。先発のチャンスも1試合あったが、10月中旬からはベンチに入ることもなくなってしまった。その理由は今年1月、テュビズとの期限付き移籍契約の解消とアルビレックス新潟への期限付き移籍が発表された際に明らかとなる。なんとベルギーでプレーするのに必要な就労ビザが長期間にわたって下りていなかったのである。