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Jリーグ 7年前

湘南の杉岡大暉とFC東京の岡崎慎、J1で交錯した2人の運命。東京五輪世代の知られざるライバル関係

text by 藤江直人 photo by Getty Images

高卒ルーキーで開幕先発。杉岡のプロ生活は順風満帆

 当時のベルマーレはJ1で大苦戦を強いられ、1stステージからJ2への降格圏をさまよっていた。2ndステージの第3節からは泥沼の10連敗を喫し、最悪のシナリオがいよいよ現実味を帯びてきても、杉岡が抱いた熱い思いが揺らぐことはなかった。

「J2へ降格したときのことも考えましたけど、湘南スタイルを武器とするアグレッシブなサッカーに惹かれたのと、日々の練習の質や強度の高さ、先輩の方々がサッカーに取り組む姿勢を見て、このチームならば毎日のように成長していける、と思ったことが決め手になりました」

 噂に違わず、チョウ・キジェ監督が課す練習はハードだった。新体制発表に臨んだある中堅選手が「全身が筋肉痛なので、座ってしゃべらせてもらってもいいでしょうか」と苦悶の表情を浮かべるなかで、高校卒業を間近に控えた杉岡は涼しい表情を浮かべていた。

「自分はまだ高校生なのでちょうどいいというか。砂浜でのトレーニングはけっこう足腰にきましたけど、ベテランの選手もやっていたので、自分がへばるわけにはいかなかった。このチームに来たかいがあるというか、体に負荷のかかった、最高の練習ができていると思います」

 果たして、2017シーズンの開幕へ向けて練習を積んでいる段階で、チョウ監督は杉岡を戦力としてカウントしていた。実は高校最後の舞台となった全国高校サッカー選手権の初戦、2016年の大晦日に行われた京都橘戦が行われたフクダ電子アリーナにチョウ監督は駆けつけている。

 決して背伸びすることなく、高校No.1ストライカーと言われた岩崎悠人(現京都サンガF.C.)を擁する京都橘を完封した杉岡のプレーに、試合中における波の少なさを感じた。

「そういう選手が特に最終ラインならば年齢は関係なく、監督ならば誰でも使いたくなりますよね」

 こう振り返るチョウ監督は水戸ホーリーホックとのシーズン開幕戦で、杉岡を3バックの左ストッパーとして先発させる。チーム名がベルマーレ平塚から湘南ベルマーレになった2000シーズン以降で、高卒ルーキーが開幕スタメンを射止めるのは杉岡が3人目だった。

 続くザスパクサツ群馬とのホーム開幕戦では先制ゴールも決めた杉岡は、最終的に37試合に出場。プレー時間はフィールドプレーヤーでは2番目に多い3251分間を数え、夏場過ぎからはポジションを1列前に上げた左アウトサイドでも起用されてプレーの幅を広げている。

「J2でしたけど、それでも去年1年間、試合に多く出させてもらったことが僕にとってすごく大きかった。去年はあまり感じなかったことですけど、J2での経験がすごく生きていると、今年になって感じています」

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