相模原在籍3年目、初の開幕スタメン
4年に一度のサッカー界最大の祭典、ワールドカップの開幕が近づいてきた。21回目にして初めてロシアで開催される戦いに、6大会連続で挑む日本代表はマリ、ウクライナ両代表と対戦する19日からのベルギー遠征で、ワールドカップイヤーの活動をスタートさせる。
1998年を振り返ってみれば、歴史に残る死闘の末に悲願の初出場を決めた岡田ジャパンを中心に、日本サッカー界は初めてのワールドカップ出場という、新たな扉を開こうとしていた。あれから20年。夢と希望を託された代表メンバー22人のうち、開幕したばかりの2018シーズンで現役を続けているのは5人だけとなった。
最年少の18歳でフランス大会のピッチに立ったMF小野伸二は北海道コンサドーレ札幌のスーパーサブとして、サンフレッチェ広島との開幕戦の71分から投入された。一方でGK楢崎正剛(名古屋グランパス)、FW中山雅史、MF伊東輝悦(ともにアスルクラロ沼津)はベンチ入りを果たせなかった。
ただ一人、グループリーグ全3試合で日本のゴールマウスを守った川口能活はSC相模原の守護神として、9日に行われたY.S.C.C.横浜とのJ3開幕戦で先発フル出場を果たした。舞台はプロの第一歩を踏み出した横浜マリノス(当時)のホームだった、ニッパツ三ツ沢球技場である。
キャリア通算6チーム目となる相模原の一員になって3年目。シーズン開幕戦の先発を射止めたのは、意外にもY.S.C.C.横浜戦が初めてだった。後半開始早々に先制しながら逆転され、最後のワンプレーで同点に追いつくスリリングな展開を、42歳になった川口は努めて前向きに受け止めていた。
「1年目はけがで、去年もコンディションがあまりよくなくて出られなかった。(今季は)新チームの始動からけがもなくいい調整ができて、コンディションを上げてこられたから開幕戦のピッチに立てた。勝てなかったことは残念ですけど、勝ち点1を取れて終われたことはポジティブにとらえたいですね」
濃密な経験に導かれた存在感を示す場面もあった。開始9分、34分と相手選手にペナルティエリア内への侵入を許しながら、至近距離から放たれた強烈なシュートを弾き返した。ぎりぎりの瞬間まで動かず、オーラを放ちながら仁王立ちする姿が、相手選手へ逆にプレッシャーを与えた。
「相手の動きもよく見えていたし、シュートコースも限定できていた。あの状況に持ち込めば何とか防げると思っていましたけど、前半のセーブが続けば、自分自身の流れでいけばゴールを奪われる気はしなかったので。2点取られたことは悔しいし、個人としてもチームとしてもしっかり反省したい」