指揮官 の途中解雇で狂ったプラン
そんなゴタゴタの中、いっこうに成績が回復しない状況にサポーターの不満は増大、会長であるロペス氏への反感を募らせているわけなのだが、実際ロペス氏に関しては、買収したは良かったが、長期的に運営していくだけの安定した資金繰りのメドが立っていたのかを疑問視する声は以前からあった。12月のDNCGの審査に落ちたのも、彼らの運営プランがお粗末だったからだ。
しかしこういう問題は、どこに問題があるのかを外の人間が判断するのは難しい。
以前、経済破綻しかけたクラブを取材したとき、オーナー側は十分に資金を投入していたが、ジェネラルマネジャーのポストにいた人物が、選手第一、現場第一、の御仁であったため、経営を度外視して、選手をひたすら金銭的に優遇して予算をからっぽにしてしまったという例があった。
そのマネジャーには「クラブはまず選手を大事にしてこそ」とう信念があったから、彼の行為がすべて間違っていたわけではないが、経営のスペシャリストが送り込まれたときにはもう手遅れだった。そんなことを知らないサポーターは、いまだに「どケチなオーナーだった」と悪印象を抱いたままだ。
一方、15年間、リールの会長を務めたミシェル・セイドー氏は、この暴動事件のあと久々に口を開き、「莫大な予算を与えられたにもかかわらずこのような状況を招いたのはビエルサ監督だ」と元指揮官に矛先を向けた。同じ会長業を務めた人物だからこそわかる内情もあるのだろう。
そしてロペス氏も、「ビエルサ氏を招聘したことは失敗だった」と最近になって認めた。ビエルサ側にも言い分はあるだろうが、彼の途中解雇でプランが大きく狂ってしまったのは確かだ。
今回の暴動事件に対しては、勝ち点剥奪か無観客試合か、なんらかの処分がリーグから下されることになる。また、経営問題もクリアしないことには、そちらで来季は自動的にリーグ2に降格、ということもありうる。そうなれば約20年ぶりのトップリーグ脱落であり、前回は復帰まで3シーズンを要した(97−2000)。