リールが陥った成績不振。冬の補強も叶わず
3月10日に行われたリーグ・アン第29節、リール対モンペリエ戦のあと、一部のホームサポーターがピッチに乱入し、選手にまで襲いかかるという暴動事件が起きた。カオスな画像を目にした方も多いことだろう。
翌日サポーターグループは、この暴挙に及んだ理由は『クラブの経済状況悪化、一部の選手が十分にチームに貢献していないことに対する不満』への抗議行動だったと発表した。
リールはこれまでリーグ優勝が3回。フランスでは常に上位5位付近で欧州カップ出場権を争う、という印象のクラブで、直近の栄光は、カタール勢がPSGに参入する前年の10-11シーズン。フランス杯とリーグのダブル優勝果たしたこのシーズン、チームを率いていたのは、現マルセイユ監督のリュディ・ガルシアだった。
昨季も11位とすでに下降線には入っていたが、現在は19位と降格圏内にいる。おまけに財政状態も厳しく、昨年12月には、プロクラブの運営状態を監査するリーグ管轄の組織DNCGによる審査をパスできず、この冬のメルカートでは新戦力のリクルートを禁じられる事態にあった。
ただでさえ成績が振るわないのに補強は叶わず、しかも財政状態を回復させるために高く売れそうな選手を手放すこともクラブは検討していたから、サポーターにとっては、「たまったもんじゃない」、「会長はなにやってんだ!」という気持ちではあったことだろう。
この会長というのが、昨年1月に就任したばかりのジェラール・ロペス氏で、スペイン系ルクセンブルグ人の実業家である彼は、スポーツ界ではF1のロータスを運営していた経歴をもつ。マルセイユ買収に名前が挙がったこともあったから、サッカークラブ運営にも前々から興味があったようだ。
着任と同時に、ロペス会長は新たなプロジェクト『LOSCアンリミテッド』を立ち上げた。PSGやモナコ、マルセイユにも外国人オーナーが参入して、外国資本によるプロジェクトブームが到来していたから、リールもその流れに乗るか!と期待も高まった。