「開幕の頃の自分と、今の自分は違う」
今年2月のフェイエノールト戦のように、試合はすでに0-3となって勝ち目がなくても、諦めたチームの雰囲気に巻き込まれずに、自分は最後まで楽しんでプレーしようと心がけ、タイムアップのホイッスルが鳴った後は「チームはともかく、自分は楽しんでプレーできた」と充実した表情を見せていた。マッチアップしたのはカリム・エル・アーマディ。ロシアワールドカップにも出場するであろうモロッコ代表MFと互角以上に渡り合えたことに、堂安は手応えを掴んでいた。
「もう開幕の頃の自分と、今の自分は違う。間違いなく成長しています」
そう、堂安は言い切る。彼には「試合から消える時間帯が長い」という欠点があった。しかし、最近3試合の堂安は、守備での貢献度がすこぶる高く、仮にボールタッチが少なくても試合に関与し続けることが出来るようになった。これも、欠点の解決策の一つだ。
開幕戦は緊張し、試合のレベルについていけなかった堂安だが、課題の解決能力はものすごく高い選手だ。2列目なら右・中央・左とどこでもこなせ、その左足はクリエイティビティとシュートのパンチ力が備わっている。上背はないかもしれないが、フィジカルの強さは自慢の武器だ。
堂安は、即戦力というよりも、少し中・長期の目を持ってA代表に呼んでみたい選手だ。彼の成長の速さを鑑みれば、もしかしたらロシアワールドカップに出場する日本代表へ滑り込むことが出来るかもしれない。
(取材・文:中田徹【オランダ】)
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