迷いがあった開幕直後。ぶつかった欧州の壁
欧州挑戦1年目となった今季、オランダ1部リーグ開幕戦でスタメンデビューを果たした堂安律だったが、思うようなパフォーマンスを発揮できず、第2節のアヤックス戦はベンチに座ったままだった。後に堂安は「開幕戦は、ただただ緊張してました」と振り返っている。結局、第6節までは試合に出ることが出来なかった。
冬にも一度、堂安には苦しい時期があった。第14節のADOデンハーグ戦で今季2ゴール目を決めた堂安だったが、実際にはボールタッチのフィーリングが悪く、調子が下り坂であるのを感じていた。そして豪雪の中で行われた第15節のローダJC戦(12月2日)で調子を完全に落とし、第17節のエクセルシオール戦は発熱で休むことになった。
今季のフローニンゲンは、なかなか思うようなサッカーが出来ず、堂安も守備に奔走する時間が長かった。「このチームに、果たして自分は合うのかな……」と思ったこともあったという。
壁にぶつかるごとに、堂安は強くなっていった。第27節を終えて、堂安が決めたゴールは6つ。この数字は、ミムン・マヒの7ゴールに次ぐ、チーム2位タイだ。今やフローニンゲンの攻撃は、堂安とマヒの2人に頼っている。
夏のプレシーズンマッチで、スペインのグラナダと戦った後、堂安はこう自己分析していた。
「今まで自分は相手を跳ね除けて、ゴリゴリ行けた。しかし、今日の相手は腕が強く、逆に跳ね返されてロストした。あのワンプレーが『これが強さか』と感じました。ただ、これまで自分は“上の世代”でやることが多かった分、最初は出来ないことがあるけれど、慣れるスピードが速いタイプなんです。だからまず、試合に出ることに意味があると思う」