新加入ボランチにかかる期待。暗いトンネルを抜ける道は…
フロンターレ戦ではそれまでトップ下で起用していた38歳の大黒柱・遠藤保仁をボランチに下げて、トップ下には23歳の井出遥也、中盤の右サイドには17歳のルーキー中村敬斗(三菱養和SCユース)を大抜擢している。しかし、名門がゆえに背負う、独特の重圧があると東口の目には映っている。
「ボールを回すにしてもちょっと自信がないというか、選手一人ひとりが生き生きしていない。やってやるぞ、という気持ちがいまのチームの雰囲気に飲まれてしまうところが一番あるんじゃないいかと」
2012シーズンと同じく第3節を終えた段階で、ガンバは動かなかった。クルピ体制が継続される未来に待つ成果を信じながら、セホーン体制に対する信頼が半ば崩壊していた6年前とは、状況がまったく異なると山内社長は言葉に力を込める。
「サッカーにおいて選手と監督の信頼関係は非常に重要だと思いますけど、クルピの練習やサッカーに対する考え方は、選手たちからも全幅の信頼を得ていると理解している。そこに賭けていきたい。井手口がいないことを前提にチームを作っているし、シーズンを通じての戦略もあると思うので」
フロンターレに完敗した10日には、サントスFCから期限付き移籍する20歳のマテウス・ジェズスが来日している。U-20ブラジル代表歴をもつ身長187センチ体重80キロの大型ボランチは、サントスFCで指導したクルピ監督が獲得を強く要望していた。
「今回補強したボランチの選手が、どれだけ早くチームに馴染むか。そこが肝になってくる。コンちゃんも戻ってくれば守備の部分はかなり堅くなるし、いろいろな組み合わせを試している攻撃の部分にもっと重心を移せる、と思っているので」
山内社長の言葉を借りれば、現状に対する最大の処方箋は、未知数な部分も多いマテウス・ジェズスの存在となる。3節を終えて唯一の白星なしとなり、2000シーズン以来、実に18年ぶりに最下位へ転落した苦境のなかで、トンネルの出口へとつながる光は残念ながら見えていない。
(取材・文:藤江直人)
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