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Jリーグ 7年前

クルピ・ガンバが迷い込んだ負の無限回廊。井手口移籍の余波と蘇る2012年の悪夢、不振脱却へ処方箋は?

text by 藤江直人 photo by Getty Images

公式戦17試合勝ちなし。2012年と共通点が…

遠藤保仁
ガンバ大阪には2012年のJ2降格を知る選手が現在も主力として在籍している。遠藤保仁もその1人【写真:Getty Images】

 後任には松波正信コーチ(現ガンバ大阪アカデミースタッフ)がクラブOBでは初めて、なおかつクラブ史上における最年少で監督を務めたが、一度狂った歯車を元に戻すことはできなかった。

 2011シーズンを振り返ればガンバは3位に食い込み、ACFチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得。最後の5試合を4勝1分けで終え、総得点78はJ1最多を叩き出していた。つまり、リーグ屈指の攻撃力はJ2へ降格することになる2012シーズンにも引き継がれていた。

 ならば、昨季はどうか。フロントは9月7日に、J2を戦った2013シーズンから指揮を執ってきた長谷川健太監督(現FC東京監督)の退任を発表している。前半戦を4位で折り返しながら、直後の7試合で1勝1分け5敗と大失速し、優勝争いから脱落したなかでの決断だった。

 J1に復帰した2014シーズンに国内三冠を独占し、2015シーズンにもガンバを天皇杯連覇へ導いた長谷川監督だったが、2016シーズンは一転して無冠に終わる。まず守備から入り、中盤の両サイドにはハードワーカーを配置する堅守速攻スタイルは、いつしかチーム内にマンネリ感をもたらしていた。

 ガンバを立て直した長谷川監督の軌跡に敬意を表しながらも、クラブとして次のステップへ進む決断は尊重できる。しかし、退任の発表があまりにも早すぎた感は否めない。

 優勝争いにも残留争いにも無縁。まさに中途半端な状態に置かれたガンバは、長谷川監督の退任発表後の9月9日に行われたヴィッセル神戸戦を1‐2で落としてから長く、暗いトンネルに迷い込む。

 YBCルヴァンカップと天皇杯を含めた公式戦でまったく勝てない。新たな監督が誰になるのかもわからない状況で、選手たちにとってピッチで集中力を保つのは極めて困難な作業だったはずだ。

 特に昨季の最後の3試合は、すべて無得点で終わっている。後半戦に限れば、ガンバは最下位だった。悪しき流れは関西のライバルチーム、セレッソ大阪を率いたクルピ監督に率いられたチームにも伝播し、公式戦では17試合連続で勝ち星から見放される惨状に陥っている。

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