新監督にも想定外の不振。蘇るのは6年前の惨劇
皮肉にもかつてガンバでプレーした2人による、絶妙のコンビネーションからとどめを刺された。それでも、東口は努めて前を向き、守備に関する明るい材料を探し求めた。
「1点目を失ったのが早かった点で痛かったけど、(味方同士の)距離感はルヴァンカップより明らかによくなった。2点目もカウンターやったし、完全に崩されたわけではないと思っているので」
重症なのは、得点の匂いをまったく感じさせない攻撃となる。放ったシュートはわずか2本。ともにペナルティエリア外からの一撃だったが、ゴールの枠をとらえられず、フロンターレの守備陣にほとんど脅威を与えることができなかった。
しかも、前半はシュート0本に終わっている。途中出場のMF泉澤仁が放った65分の1本目は、目の前にいたエドゥアルド・ネットにブロックされた。後半アディショナルタイムにFWアデミウソンが右足を振り抜いたが、ボールはクロスバーのはるか上に超えていった。
試合後の公式会見。今季から指揮を執る、ブライル人のレヴィー・クルピ監督は精彩を欠くチームにネガティブな言葉を漏らしては、それを打ち消すかのようにポジティブであろうとしていた。
「これだけガンバらしさを出せない試合が開幕から続くことは、正直言って想像していなかった。技術と戦術、そしてメンタルのすべてにおいて本来あるべき姿からは遠いし、取り戻していくのも簡単なことではない。責任はすべて監督である私にあるが、しっかりと前を向いて立て直していきたい」
いまも悪夢として脳裏に刻まれている2012シーズンとは、実は共通点がある。ガンバは2011シーズン限りで10年間に渡って指揮を執り、2005シーズンのJ1制覇を含めて、4つのタイトルをもたらした西野朗監督(現日本サッカー協会技術委員長)との契約延長を見送っている。
長期政権のもとでマンネリ感のなかに陥っていると判断した末の決断だったが、新監督として招へいしたはずの呂比須ワグナー氏(前アルビレックス新潟監督)が、Jリーグの監督を務めるのに必要なライセンスを取得していなかったことが判明する。
フロントは急きょジョゼ・カルロス・セホーン監督を招へい。呂比須氏をヘッドコーチに据えたが、実質的な二頭体制のもとでクラブ内は大混乱に陥り、開幕3連敗を喫した時点で首脳陣と山本浩靖強化本部長を解任する荒療治に打って出た。