「守れへんし、得点も取れない」(東口)
敵地・等々力陸上競技場のゴール裏まで駆けつけたサポーターたちから、容赦ないブーイングが浴びせられる。90分間を戦い終えたガンバ大阪の選手たちは、申し訳なさそうに頭を下げるしかなかった。
2012シーズン以来、クラブ史上2度目となる開幕3連敗。6年前はガタガタになったリズムを取り戻せないまま17位に終わり、クラブ史上初のJ2降格を味わった。
ただ、当時とはチームが直面する状況が明らかに異なる。2012シーズンはJ1最多の67得点をマークしながら、同じくワースト2位の65失点と守備が破綻したことが降格の最大の原因だった。
つまり、守備組織さえ建て直せば降格圏から浮上できる、という処方箋が存在した。最終的には具現化されることなく涙を呑んだものの、クラブが一丸となって取り組むべきテーマがあった。
翻って今季はどうか。名古屋グランパスとの明治安田生命J1リーグ開幕戦こそ2ゴールを奪ったものの、鹿島アントラーズとの第2節、メンバーをほとんど入れ替えることなく臨んだサンフレッチェ広島とのYBCルヴァンカップのグループリーグ初戦はともに完封負けを喫した。
迎えた今月10日の第3節。昨季のJ1覇者、川崎フロンターレに0‐2の完敗を喫したガンバは、2014シーズンの三冠独占を含めて、Jリーグの歴史上で2番目多い8個の国内タイトルを獲得してきたチームとは思えないほど、攻守両面でまったく歯車がかみ合っていなかった。
最後尾からフィールドプレーヤーが戦う姿を見つめ続けてきた守護神で、日本代表にも名前を連ねるGK東口順昭が試合後に漏らした第一声が、ガンバを蝕む病状の深刻さを物語っている。
「苦しいですね。守れへんし、得点も取れないので」
開始早々の8分に、セットプレーのこぼれ球をMFエドゥアルド・ネットに押し込まれた。エンドが変わった55分にはカウンターからMF阿部浩之があげたクロスを、MF家長昭博が利き足とは逆の右足でゴールネットに蹴り込んだ。