サッカー本大賞「翻訳サッカー本大賞」を受賞した『マヌエル・ノイアー伝記』の共訳者、山内めぐみ氏(左)と吉田奈保子氏(右)【写真:松岡健三郎】
3月12日、神田明神会館にて第5回を迎える「サッカー本大賞2018」の授賞式が行われた。
今回ノミネートされた12作品の優秀作品に賞状が授与された。その後、本年度の「サッカー本大賞」「翻訳サッカー本大賞」「読者賞」が発表された。
選考委員の協議によって選ばれる「翻訳サッカー本大賞」には『マヌエル・ノイアー伝記』(ディートリッヒ・シュルツェ=マルメリンク著、吉田奈保子・山内めぐみ訳、実業之日本社刊)が受賞した。受賞者のシュルツェ=マルメリンク氏の代理として授賞式に出席した吉田奈保子氏と山内めぐみ氏には盾と賞金、並びに協賛の猿田彦珈琲株式会社より記念品が贈られた。
共訳者として翻訳を担当した山内氏は、サッカーに関して「全くのど素人」だったという。だが「本当にノイアーの人柄がよく伝わってくる書籍で、私もそこから知って、いつの間にかブンデスリーガの結果を気にするような人間になっていました。視点を広げるすごくいい機会をいただいた本だったので、翻訳する機会をいただけたことに心から感謝しております」と受賞の喜びを述べた。
また10年以上にわたってサッカー本の翻訳に携わってきた吉田氏は「今回『マヌエル・ノイアー伝記』の話をいただいたときにすごく嬉しかったのですが、私はドルトムントのファンだったんです。ノイアーはシャルカー(シャルケ出身)なので天敵というか、さらにバイエルンに行ってからも天敵という感じだったんですけれども、訳し終わったときにはノイアーの大ファンになっていました」と、サッカー界をリードする世界最高峰の守護神の魅力を語った。
今回のサッカー本大賞「翻訳サッカー本大賞」受賞した『マヌエル・ノイアー伝記』は、翻訳者の2人にとっても転機になる1冊だったようだ。
山内氏は「選手やスポーツのことを深く掘り下げて翻訳することのみならず、ご専門の方の深い考察であるとか、裏取りなどの全く一部の隙もないようなやり方にすごく感銘を受けました。翻訳者としてはかなり新米なんですけれども、そういう姿勢を見習って、これからもこのような力のある本が名誉ある賞をいただけるよう、日本に伝えていけるような仕事をしようと改めて思いました」と述べた。
吉田氏も「怪我もあって3月中旬には復帰するかもしれないという話ですけど、レーブ監督も彼をNo.1として考えていると言っていますし、ノイアーのさらなる進化形が見られるかもしれないワールドカップが楽しみです。彼を超えるGKが出てきても面白いと思います。またそういうGKに限らず、進化系のサッカー選手の本を翻訳する機会をいただければ、それはすごく素晴らしいことだと思います」と、今後のチャレンジへの意気込みを語っていた。
▽ディートリッヒ・シュルツェ=マルメリンク氏(サッカー本大賞2018「翻訳サッカー本大賞」受賞)コメント全文
「私の著書がアジアの国で表彰されることに大変な栄誉を感じております。それも日本というここ数年来、サッカー界で目覚ましい躍進を遂げている国、素晴らしい選手たちが何人もドイツのリーグに来ている国、さらにこの20年間常にワールドカップ出場を果たしている国での受賞なので、なおさらです。
本書をきっかけにマヌエル・ノイアーについてさらに知っていただくことはもちろん、私が愛する『モダンなGK』のプレーというものについても知っていただければ幸いです。いつかブンデスリーガで日本人のGKを見ることができればと願っています」
【了】