本田が“使う側”であり続けるために必要なこと
大きな要因としては最初の失点が同サイドの裏を突かれたこと。そこから組み立ての段階で本田にボールが集まり、出し手と受け手の関係がハッキリしてしまうことで、相手にも読まれやすかった。本田がアウトサイドにいる場合は同じ[4-1-4-1]でもインサイドハーフの選手が起点になるのか、本田が起点になるのか相手は的を絞りにくい。
しかし、本田がインサイドに入るとどうしてもボールが集まり、“使う側”に特化した選手になってしまう。そうなると相手の守備がタイトである限り、攻撃の起点として自由を得られないばかりか、本田がゴール前に飛び込むシーンはなかなか作れない。
基本的に本田は“使う側”の選手だが、周囲の選手とイメージを共有しながら時に関係を逆にして“使われる側”になるなど、組み立てにバリエーションを織り交ぜていかなければ、ボールを触ることはできても効果的な攻撃を生み出していくことは難しい。
インサイドハーフのポジションで継続的にプレーするなら右サイドはもちろん、左インサイドハーフのエリック・グティエレス、アンカーのホセ・エルナンデスとの関係もさらに構築していく必要がありそうだ。
現在の日本代表も中盤の候補である香川真司や清武弘嗣が負傷中。Jリーグ開幕から好調の伊東純也や所属クラブのフォルトゥナ・デュッセルドルフで4試合連続ゴール中の宇佐美貴史といった選手の台頭も考えれば、本田がインサイドハーフで起用される可能性も十分にある。
そうなれば従来の右サイドより本田の持ち味を発揮しやすい環境にはなるが、パチューカにおける課題と同じように、周囲との関係をいかに構築できるかがテーマになる。
(文:河治良幸)
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