ハリルホジッチ監督の目に留まるだろうか
中央に絞ることもある程度は許されているようだが、それはチーム内の規律の上に成り立つものだ。城福浩監督は「あまり詳しく言えないが」と前置きし、こう語った。
「何でも自由にやっているのではなく、どういう時に幅を取って、どういう時に深さを取りながら中を使っていくのかということ。我々はやはり幅と深さがないと、相手を翻弄するようなことはそんなに簡単にできないので。各々のポジションの役割、右と左の役割を意識しながらサッカーをすると。その中で彼がどういう役割を担っていくかというのは、今後も擦り合わせながらやっていく」
中央でのプレーも含めて、川辺は指揮官の求めるタスクを遂行している。今後、その精度がさらに上がれば、背番号36の存在感も高まるはずだ。
次節、広島はホームに磐田を迎える。川辺は鹿島戦の終盤に相手と交錯し、左足を痛めて交代となった。ミックスゾーンには自らの足で歩いて出てきており、「乗られてちょっと捻ったけど大丈夫」と話している。状態に問題がなければ、磐田戦のピッチにも立つだろう。
「いい選手が多いし、セットプレーなど注意しないといけない。(磐田で)やっていた身として、あれだけセットプレーで点が入ればチームとして楽だなと感じていたので、そういうシーンを作らせないようにしないといけない。連勝を続けたまま中断期間に入りたい」
22歳は現在進行形で成長中だ。開幕から見せているプレーを継続できれば、磐田にとって大きな脅威となる。
勝利を積み重ねるチームで、川辺はその能力を遺憾なく発揮していると言える。前節・浦和レッズ戦後には日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が『広島の若手』について触れたという。
ピッチでのパフォーマンスを見れば一目瞭然だが、川辺がJ1で最もノッている選手の一人であることは間違いない。
(取材・文:青木務)
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