取り戻した原点。泥臭く、貪欲に
この日と同じように序盤に先制しながら、終盤にミス絡みで失点を喫して勝ち点1の獲得にとどまった先月25日のセレッソ戦。そこで出た「勝っている終盤のゲームコントロール」の課題を意識しながら、攻める姿勢も忘れず戦うことができた。
そして今月2日、敗れた柏レイソル戦では「アタッキングサードでの質」が問われた。前線の選手たちの積極性、パスをつなぐだけでなくゴールに向かう貪欲さは、FC東京戦で改善が見られた。シュート数はFC東京の9本を大きく上回る「16本」。
4分の先制点の場面も、左サイドから切り込んだFW遠藤渓太が遠めから思い切り右足を振り抜いたミドルシュートがきっかけとなった。こぼれ球を信じてリスクを冒し、逆サイドからもFWイッペイ・シノヅカが詰めていたからこそのゴールだった。
飯倉は語る。
「目指すスタイルは圧倒して勝つことだけれども、やっぱり1対1の部分だったり、誰かがデュエルのところで勝てなかった場合に他の選手がカバーしたり、そういう泥臭く戦っていくことも必要。本当のベストはすごく綺麗にバルサみたいなサッカーをしたいんだけれども、それは今のこのレベルでは難しいから、それに近づけるように、ドタバタしながらでもゲームをコントロールしていければいいのかなと思います」
マリノスが初勝利で得たものは勝ち点3だけではなかった。ポステコグルー監督が追い求めるスタイルにこだわるあまり、疎かになりがちだったサッカーの原点。勝利を目指して貪欲に、泥臭く「戦う」姿勢が最も欲していた結果につながった。
(取材・文:舩木渉)
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