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Jリーグ 7年前

那須大亮が目指す完全燃焼。幾多の挫折バネに這い上がったサッカー人生【谷間の世代と呼ばれて】

シリーズ:「谷間の世代」と呼ばれて text by 元川悦子 photo by Getty Images

36歳で新天地へ「神戸でも熱く、やり切りたい」

那須大亮
那須大亮にとって浦和レッズでの日々は発見に満ちていた【写真:Getty Images for DAZN】

 32歳で赴いたJリーグ屈指のビッグクラブでは、1つの大きな発見があったという。

「『ここでやれているのは当たり前じゃないんだ』って思ったんですよね。どのクラブにもサポーターはいるし、応援してもらってるんですけど、レッズのサポーターは熱量が物凄く大きかった。『自分1人じゃない』って強く感じましたね。だからこそ、1試合をごく普通に淡々と過ごすんじゃなくて、『もうこれで最後だ。倒れて引退するならそれも本望だ』というくらい全てを出し切って戦おうと考えるようになったんです。

去年の夏(7月の札幌戦)でケガ(左太もも肉離れ)した時も後悔は全くなかった。昔は弱い自分がどこかにいて『ケガをしたくない』といった意識の時がありましたけど、あの時は『自分が全力でやった結果なんだ』と強く思えた。『もう1回立ち上がって戦おう』と考えたほど、1つの試合をやり切ろうとした自分がいましたね」

 ピッチに立つ者は、ベンチにいる他の選手やコーチやスタッフ、クラブ関係者、サポーターなど多くの人たちに支えられている。全員の思いを背負って、一緒になって戦っている。那須はその責任の重さを年を追うごとに強く感じるようになった。神戸という6つ目のJ1クラブにやってきた今、その思いを日常的に表現し、チームの一体感を醸成して、勝てるヴィッセルを作り上げること…。それがプロ17年目を迎えたベテランDFに課せられた最大のタスクである。

 吉田監督は横浜FM時代にともに戦った先輩。「熱くタフに戦える那須なら自分の思いを託せる」と考えて、チームに呼んだのだろう。それは三浦淳宏スポーツダイレクターら強化スタッフも一緒。彼ならば、周りを取り巻く人々の期待に応えていくことがきっとできるはずだ。

「ヴィッセルはACL(AFCチャンピオンズリーグ)圏内を目指して変わろうとしてますけど、補わないといけないところは沢山あります。雰囲気だったり、練習への姿勢だったり、ホントにちょっとしたことですけど、それはピッチレベルで変えるべきこと。みんなで気づいたところを変えていけばもっといいチームになれると思います。僕も自分の情熱を全部ぶつけたいですし、神戸でも熱く、やり切りたいという気持ちは持ってます」

 那須大亮という男の凄まじい情熱が神戸というクラブをどう変えていくのか。今季の戦いぶりが非常に楽しみだ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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