選手も音を上げる過酷さ。時差も大きな懸念に
そうなればあとはこちらが準備を進めるだけ。1人では手が足りないのでサッカー好きかつ旅好きな友人を巻き込み、航空券や宿を抑え、面倒なビザの手続きを経て、人生初のロシア行きが決まった。極東地域とはいえど、まさか来年のW杯前にロシアを経験することになるとは夢にも思わなかったが、ふとした会話から約3週間ほどで全ての準備が整ってしまった。
ただ、海外で発信された英語の記事を読んでいても、基本的に数字やデータのみで「世界一過酷なアウェイ遠征」が実際にどれほど厳しいのかわからない。そこで渡航前にどうしても会っておきたかった選手のもとへ足を運んだ。
その選手とは昨年夏に横浜F・マリノス加入が発表された、イッペイ・シノヅカである。日本人の父とロシア人の母のもとに生まれ、高校1年生まで日本で過ごしていたシノヅカは、昨季までスパルタク・モスクワのセカンドチームに所属していた。
ロシアではプレミアリーグ(1部)のいくつかのクラブが、セカンドチームを2部リーグに参戦させている。スパルタク・モスクワもそのひとつで、シノヅカはロシア時代にハバロフスクやウラジオストクへの「世界一過酷なアウェイ遠征」を経験しているのである。そんな彼に「実際、ハバロフスクとのアウェイゲームってどれくらいキツいんですか?」と質問をぶつけてみた。
「超キツいっすよ。飛行機で8時間くらいかかりますから。モスクワ時間で(試合開始の)2日前くらいに出発して、時差があるので着いた時には1日後みたいな感じなんです。7時間の時差があって、プラス(飛行機で)8時間だから15時間くらい経っている感じがするんです。飛行機で寝て、着いたらちょっとホテルで休憩して、すぐ試合です。時差に慣れないようにモスクワ時間で動くんです。(試合が終わったら)すぐ戻るから」