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ディバラの誘惑…諦めがつかないメッシとの共存。アルゼンチンを高みに導く可能性【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

メッシとの共存はあるか

ワールドカップでメッシとの共存はあるだろうか
ワールドカップでメッシとの共存はあるだろうか【写真:Getty Images】

 問題はあまりにもプレースタイルがメッシと重なりすぎていることだろう。普通に考えればメッシは2人いらない。ディバラはメッシのバックアップと考えられる。

 ただ、サンパオリ監督はなかなか奇特な人なのだ。マルセロ・ビエルサの熱烈な信奉者だが、優勝したコパアメリカではホルヘ・バルディビアを起用している。天才型のバルディビアは創造性で図抜けているが、ビエルサ方式のトータルフットボールでは使い方が難しかった。

 ビエルサはフアン・ロマン・リケルメも使わなかった。しかし、サンパオリはバルディビアを生かし、セビージャではやはり扱いが難しいサミル・ナスリを中心に据えて攻撃をグレードアップさせている。完璧を追求するあまり天才を組み込めなかった師匠と違って、サンパオリは何かを捨てて何かを得ることを知っているような気がする。

 メッシだけでもアルゼンチンは優勝できるかもしれない。前回大会あと一歩まで行ったときがそうだった。ただ、その場合にスーパーなのはメッシだけだ。メッシとディバラがいれば、アルゼンチンはチームとしてもスーパーになれるかもしれない。それはどんな監督にも簡単に諦めがつかない誘惑ではないだろうか。

(文:西部謙司)

【了】

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