360度のターン。ゾーン攻略の「間受け」
シャビ・エルナンデスは中央でプレーできる選手の資質として、「360度のターン」をあげている。実際に360度ターンすることはないと思うが、180度ではないところが面白い。後方からパスをもらってワンタッチで前を向くだけでなく、さらに角度を広げられるかどうかを問うている。
イニエスタ、ダビド・シルバ、モドリッチなどは足にボールをつけたまま全方位的なターンができる選手だが、パウロ・ディバラもそのうちの1人だろう。
ディバラにはさらに素早さがある。タッチライン際で挟まれて、もうどうにもならないような状況でもすり抜けられる。ディバラの「脱出ショウ」はピッチのあちこちで披露されていて、限定されたエリアでプレーできる希有な才能の持ち主だ。
ゾーンディフェンス攻略の定石として「間受け」がある。ゾーンの隙間でパスをうけて守備を収縮させ、そこからボールを逃がすことで逆に広がった周囲のスペースを生かすわけだ。ところが、間受けが成立しているのにいっこうに打開できないシーンもよく見る。
せっかくいい場所で受けていてもターンできないのだ。ターンできないので後方へボールを戻す。それも決して悪いプレーではないが、ずっとそれでは打開できない。チャビの言う360度ターンのできる選手がいないと、ボールを保持していてもなかなか崩せないのだ。
アルゼンチンにはリオネル・メッシがいて、パウロ・ディバラがいる。メッシとディバラの共演は誰もが期待したくなるのだが、今のところそれは機能していない。