川辺が感じる広島の可能性

　昨季からの巻き返しを誓う広島にとって、勝利が重要であることは川辺もよく理解している。

「連勝できたのが大きいですよ。力のあるチームだし、途中から入って仕事ができる選手も多いので。いいメンツが揃っているし、大崩れしないチームになっていくんじゃないかなと思っている」

　昨季は最後まで苦しんだが、J1優勝を経験した選手も多い。もちろん、リーグの頂点に立った当時とはスタイルが異なるが、勝ち方を知っているメンバーがいるのは心強い。今後も安定して勝ち点を積み上げていける可能性を、川辺は感じている。だが、それを実現するためにもやるべきことは少なくない。

　この日は浦和がボールを保持する展開となったため、広島は堅守速攻で対抗した。チームとして狙った形で成果をあげたが、「それだけになりたくない」と城福監督は言う。試合を重ね、トレーニングを続けることで今季の広島の形も鮮明になっていくのだろう。

「色々な面で、まだまだこれからだと思う」と話した川辺は、後半途中に移ったトップ下でリズムをもたらした自負を口にする。

「今日はやっぱり、真ん中で勝負することで雰囲気とか流れがガラッと変わったと思っているので」

　ポジションに関する自身の希望はある。しかし、『これから』の部分も多い広島が2連勝を飾ったことは、川辺にとっても収穫だ。

「チームとして良くなりたいという気持ちが強い分、結果がついてくればついてくるほど、波に乗っていけると思う。地に足をつけて、良くないところは良くないという風にもなっているし、それもいいところかなと思う」

　川辺駿の胸中には、チームをけん引するという大きな責任感が宿っている。浦和戦で披露した鮮烈なプレーは自覚の表れに他ならない。復活を期す広島がさらに勢いを増すとすれば、中心にはこの22歳がいるだろう。

（取材・文：青木務）

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