遅すぎたアトレティコの“切り替え”
一方アトレティコは、前線のD・コスタがバルセロナのセンターバックのプレスをかわすことができずカウンターがなかなか決まらない。最大の武器を封じられ、ほとんどチャンスを作り出せぬまま前半を終えた。
後半、アトレティコは立ち上がりこそ前半と同じようなプレーを見せたが、60分頃からプレスの強度を強めボールを奪うことにより力を注ぐようになる。ガビやシメ・ヴルサリコら守備的な選手たちに代えて攻撃的なアンヘル・コレアやケビン・ガメイロが投入されると、相手ゴールに襲いかかる頻度も増えた。
74分、相手のパスワークをカットしたコケが前線のD・コスタにパス。その落としを受けたグリーズマンがシュートを放つもゴールの枠に飛ばず。86分には、右サイドでフリーとなったコレアがクロスを上げると、D・コスタが競り合いに勝ってこぼれ球にガメイロが合わせた。待望の同点弾と思われたこのゴールは、オフサイドの判定で認められなかった。
アトレティコは後半、グリーズマンやD・コスタら前線よ攻撃力が存分に発揮されていた。それだけに、試合開始当初のプランである堅守速攻を早い段階で諦め、バルセロナからボールを奪うことに注力して攻撃的に出ることが遅かったのではないか。
対してバルセロナは、アトレティコの堅い守備網を崩せなかった場合の即時奪回、または相手のカウンター後のオープンな展開の中でエースの力を存分に引き出すことができた。後半はペースを落とし前半ほどの勢いは見せなかったものの、守備に重きを置いたアトレティコから先制点を奪えたことがこの試合を決定づける要因であったように思われる。
リーグ最少失点のアトレティコですら止めることのできなかったバルセロナ、そしてメッシをこの先封じることのできるチームは現れるのだろうか。
(文:長坂祐樹)
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