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バルサを苦しめたラス・パルマスの柔軟性。降格圏クラブが狙った合理的な守備戦術

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

終盤はドロー狙いの撤退守備。試合の流れを変えたPK

 先制されても高い位置からプレスに行くことをやめなかったラス・パルマスは、いくつか奪ったボールを前線に繋げチャンスを作ることができていた。一方でバルセロナは、相手の中央のスペースを狙い続けながら試合を進めていった。

 しかし、48分にラス・パルマスがPKを獲得して同点に追いついたことで試合の展開が変化する。

 勝ち越し点が欲しいバルセロナは、A・ビダルを下げて、より中央やライン間でのプレーが得意なフィリッペ・コウチーニョを投入。今冬加入したブラジル代表MFは、左サイドに比べ不慣れな右サイドでも味方との連携からチャンスをいくつか作った。

 メッシ、イニエスタ、コウチーニョがゴールに迫る中、失点を恐れたラス・パルマスは70分、ビセンテ・ゴメスに代えて中盤にアルベルト・アクイラーニを入れることでプレスの開始位置を少し下げる策を選択した。さらに、プレス時に後方のスペースを留守にしがちなエテボを1列下げた4-4-2気味のシステムは、アンカー脇のスペースを狙い続けたバルセロナに新たな解決策を迫った。

 75分、バルセロナはウスマンヌ・デンベレを投入してサイドからの崩しを試みるも、なかなか質的な優位を発揮することができず。その間にもラス・パルマスは、引き分けを狙ってセンターバックのダビド・ガルシアを投入し、5バックで守備を固めた。最終的には、中央やサイドで攻めあぐねるバルセロナ相手にホームチームが価値ある勝ち点1を獲得した。

 プレッシングをあっさりかわされ用意したプランが崩れたラス・パルマスだったが、PKでの同点をきっかけに流れを引き寄せ、守備戦術を調整しながらきっちりバルセロナの攻撃に対応した。一方、相手のハイプレスにうまく対応したかに見えたバルセロナだったが、相手が隙を見せている間に畳みかけられなかったことが勝ち点2の獲り逃しに直結してしまった。

 これにより26試合消化時点で首位バルセロナと2位アトレティコの勝ち点差は5ポイントとなった。次節、中2日で迎えるトップ2直接対決の結果次第では、一時バルセロナの独走になりかけたリーガの優勝争いが再び熱を帯びてくるかもしれない。

(文:長坂祐樹)

【了】

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