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バルサを苦しめたラス・パルマスの柔軟性。降格圏クラブが狙った合理的な守備戦術

リーガエスパニョーラの優勝争いに再び火が点くか。現地時間1日、首位のバルセロナはアウェイでラス・パルマスと対戦し、痛恨のドローに終わった。降格圏に沈むホームチームが積極的に仕掛けた変化に富む守備戦術が、2位アトレティコ・マドリーを後押しする結果をもたらしている。(文:長坂祐樹)

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

離島で戦術合戦。バルサとラス・パルマスのせめぎ合い

メッシ
バルセロナは降格圏に沈むラス・パルマスと痛恨のドロー【写真:Getty Images】

 現地時間1日、リーガエスパニョーラ第26節の試合が行われ、バルセロナはラス・パルマスと対戦した。

 バルセロナは3日後にアトレティコ・マドリーとの天王山を控える中で行われたこの一戦だったが、リオネル・メッシやルイス・スアレスら主力組をほとんど温存することなく敵地に乗り込んだ。

 今季最初の対戦で0-3の完敗を喫したラス・パルマスは、アウェイで行われた前回よりも強気の姿勢で首位チームに挑んだ。前半から相手のビルドアップの妨害に出て、なるべくバルセロナがボールを保持する時間を減らそうとしたのだ。

 4バックの相手に対して高い位置からビルドアップを妨害する方法は、守備側の配置によっていくつかのパターンに分類することができる。今回パコ・ヘメス監督率いるラス・パルマスが行ったのは、1トップのホナタン・カレリとインサイドハーフのタナかオゲカネロ・エテボが相手のセンターバック2人にプレスをかけ、後方の選手はそれに合わせてマークをはめていくというものだった。

 これに対するバルセロナの対応も明確であった。ジェラール・ピケに代わって右のセンターバックを務めた左利きのサミュエル・ウンティティがどうしてもピッチ中央からプレスをかけてくる相手に対して利き足をうまく使えなかったこともあり、GKのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンを介してビルドアップを試みた。

 GKを介するビルドアップの利点は、リスクは伴うものの相手の前線からの守備に対して局地的に数的優位を作れること、そして相手守備が食いついてきた際には、前線で待つ味方に広大なスペースを与えつつ相手と同数の状態にできることにある。

 実際、バルセロナは中長距離のキック制度に長けたテア・シュテーゲンが前線で待つアレイシ・ビダルにパスを通し、右サイドMFから落としたボールをリオネル・メッシがフリーで受けてチャンスに繋げた。また、A・ビダルが自らに相手を食いつかせることで味方のサイドバックをフリーにして、そこから攻撃を展開する場面も作ることができ、ビルドアップにはある程度成功した。

 ファーストディフェンスをかいくぐり、相手を後方に押し込んだバルセロナは強かった。片方のインサイドハーフが積極的なプレスをかけるのに連動できず、もう片方のインサイドハーフやアンカーのビセンテ・ゴメスが適切な対応をとれなかったラス・パルマスに対し、バルセロナはアンカーの脇のスペースにメッシやA・ビダル、アンドレス・イニエスタを配置して崩しを試みた。先制点のフリーキックを得たシーンも、A・ビダルがそのスペースでボールを受けたことがきっかけとなっている。

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