「良い内容で負けた」。そこに重要な鍵?
個人的にはPSGの本拠地パルク・デ・プランスの雰囲気が、それほどアウェイチームに脅威を与えるもの、という印象はない。ギリシャやトルコなどではスタンドにおとなしく座っているだけでも怖いくらいの圧迫感を覚えるが、パルクはウルトラスの数も少ないし、戦闘ムードはあまり感じない。
酒井宏樹にもパルクの雰囲気を聞いてみたが、「いや、そんなに変わらないです」とあっさり答えてくれた。なのでレアルをびびらせるほどのものではないと思うが、ともあれ、そのパルクでのPSGの強さを見せてもらいたいところだ。
第1レグの対戦については、多くがPSGのプレー内容は良かった、と認めていた。そしてレアルのゲームはあまり良いものではなかったと。しかしそこに重要な鍵があるように思う。
良いプレーをして勝つのはある意味当たり前だが、プレー内容が悪いのに結果を出せてしまうのは、それこそが地力ではないかと。うろ覚えだが、かなり昔に、まだ現役監督バリバリだった頃のサー・アレックス・ファーガソンもそんなことを言っていた気がする。
マンチェスター・ユナイテッドがリーグ優勝した理由を聞かれて、「プレー内容の悪い試合でも勝てたから。それこそが真に強いチームである証明だ」と。そんな、ドローでも勝ち抜けられるレアルに勝ってベスト8進出を決めたら、そのときPSGは、ひとつの脱皮ができるような気がする。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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