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ペップ・シティ帝国誕生、そしてヴェンゲル体制終焉か。カップ戦決勝で別れた明暗

text by 山中忍 photo by Getty Images

試合よりも注目を集めたのは“リボン問題”

“スムーズに”リーグカップ決勝を制したマンチェスター・シティ
“スムーズに”リーグカップ決勝を制したマンチェスター・シティ【写真:Getty Images】

 しかも、グアルディオラ体制2年目のシティは、帝国としての産声を余裕で上げた。

 ピッチ上の新たな名参謀とも言うべきケビン・デ・ブルイネが、当人の高水準からすれば及第点レベルの出来でも、中盤の番人であるフェルナンジーニョを後半早々に怪我で失っても、枠内シュート3本3得点の零封勝利で難なくアーセナルを退けた。

 シティのプレミア強豪化を支えたセルヒオ・アグエロ、ヴァンサン・コンパニ、ダビド・シルバの3名が、帝国化へのバトンをデ・ブライネらの次世代に渡すかのように、リーグカップ優勝へとネットを揺らした。

 本調子ではなくともスムーズだった勝ちっぷりは、まるで決勝のウェンブリーには対戦相手など存在していなかったかのよう。

 実際にグアルディオラの試合後会見は、FAから罰金制裁を言い渡されても身につけていた黄色いリボン(カタルーニャ支援)に関する、アーセナル戦勝利とは関係のない質疑応答が約14分間の半分を占めた。

 そのアーセナルについては、アーセン・ヴェンゲル体制の最期が告げられたようなものだ。

 体制変更を望む声がファンの間でも増えるシーズンが続く中、自身初でもあるリーグカップ優勝を必要としていたベテラン監督は、試合前に自軍を勝ち目が薄いと見られている「アンダードッグ」に自軍を例え、チームのプレシャー軽減と反骨心の喚起を試みたが、意図した反応は全く得られなかった。

 もはやヴェンゲルのアーセナルには、再び主要タイトル獲得のチャンスなど訪れることはないと思わせるほど情けない負け方だった。

 決勝のウェンブリーでアーセナルが威厳を見せたシーンは、敗戦後、自軍サポーターが陣取っていたスタジアム半分はほぼ空っぽで、おまけに零度近い寒さの中でもピッチ上に残り、7回ほど手を叩いたヴェンゲルを含めて拍手でシティ戴冠を讃えた一場面ぐらい。肝心の試合中には、威厳の「い」の字も見られなかった。

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