前年を越えるためにも進化が必要なのは間違いない
「特に自分たちの左サイド、アダとギーのところでちょっと早く出て(森下)俊がつり出されてしまった。自分と俊の間にどんどん知念くんが入ってきたので、自分もつり出されて。僕がもう少し中にいられれば。ここで口にするのはちょっと難しいけど、もう少しうまいことできたんじゃないかなと思っている」
昨季の躍進を支えたのは堅守という武器だった。中央の封鎖、縦ズレ、横へのスライドなど、名波監督が口酸っぱく伝えてきた要素を一人ひとりが体現してきたからこそのものだった。その意味では、川崎Fを迎えたサックスブルーはバランスを欠いたと言える。
だが、前年を越えるためにも進化が必要なのは間違いない。ギレルメには新たなものを磐田に加える力があり、実際にその片鱗も見せている。
「あの試合は参考にはならない」と名波監督は言った。指揮官としては、日進月歩の成長を遂げていた昨夏のチームと、強固なベースに新たな強みを肉付けしようと試行錯誤している現段階のチームを比べることはできない、ということだったのではないか。
開幕ゲームでは、もう一人の新戦力である田口泰士も58分からピッチに立った。ボランチの位置に入った背番号7は相手バイタルエリアに侵入するプレーを見せ、強烈なハーフボレーでGKを強襲した。
また、昨季途中に台頭してきた上原力也も安定したボール捌きでリズムを作り、味方への顔出しも怠らなかった。投入直後には勢いよくフリーランニングを敢行。パスが出てくることはなかったが、意欲的な姿勢をまずは示す格好となった。
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