交代で流れが変わった後半。貫いた“攻撃的精神”
後半に入っても、なかなか図式は変わらなかった。引いて優位に立つイタリアのアウトサイダーに対して、攻めあぐねるBVB。シュテーガー監督は状況を打開しようと交代のカードを切っていく。46分、ジェレミー・トルヤンを下げてシュメルツァーをピッチに送り出す。さらに59分、クリスティアン・プリシッチに代えてマルコ・ロイスを投入する。
2列目に揃った“ドイツ代表トリオ”。試合の終盤に掛けて、少しずつチャンスを増やしていく。81分、左サイド。マリオ・ゲッツェからパスを受けたロイスが、ペナルティエリアに入ってドリブルで進み、マイナスに折り返す。これをシュールレがダイレクトでシュート。GKエトリト・ベルシャの好セーブで得点には至らなかったが、前半に比べれば間違いなくゴールに近付いていた。シュテーガー監督は「何より交代が上手くハマった」と振り返った。
そして最後に82分、マフムート・ダフートに代えて、アレクサンダー・イサクを投入。ボランチを1枚削って、FWを送り込んだ。1点を取らなければELの敗退が決まってしまうのだから、このリスキーな選択も当然と言えば当然だが、こうして指揮官が“攻撃的精神”を貫いたことで、待望の同点弾が生まれた。
83分、イサクが中央から斜めに走って作ったスペース。ウカシュ・ピシュチェクからパスを受けると、ロイスはファーにボールを転がして送る。GKベルシャが弾く。走り込んだシュメルツァー。右足でボールを押し込んだ。
このまま試合は終わり、2戦合計4-3でラウンド32を突破したドルトムント。粘り強く「アグレッシブ」なアイデンティティを再確認した、“伏兵”との第2戦だった。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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