プロ初となる移籍で地元へ帰還した徳永悠平
こうして加入した選手たちの中で、最も早くからチームの信頼を勝ち取ったのが自身プロ初となる移籍で地元へ帰還した徳永だ。
J1での実績があり、代表でも活躍した徳永の加入にあたっては、一部に年齢を懸念してハードワークが身上の長崎スタイルに上手く適応できるのかを危ぶむ声もあったという。
だが高木監督も「やはり、あのクラスの選手になると理解が早い」と評する適応力を発揮して瞬く間に不安を一掃すると、DFの主軸として若いチームの精神的な支柱となる存在感を示したのである。
同様に高木監督自らが欧州視察の末に獲得したベンも、縦への素早い突破とキレのある動きで台頭。大卒ルーキーの米田と新里涼も守備の部分でまだ軽さはあるものの、積極的に仕掛けていくプレーで関係者からの評価を高めており、徳重健太も確かな経験に裏打ちされた安定感で信頼を高めてきた。
黒木聖仁、中原彰吾らボランチの主軸と期待された新戦力が、故障で出遅れてしまった点は計算外だったが、ファンマ、澤田崇、飯尾竜太朗といった昨季からの主力も確実に成長を見せており、シーズンを前にチームの融合と強化は着実に進んだと言えるだろう。
戦術やスタイルの浸透度もおおむね良好だ。
「監督からはこれまでより1つ2つ先のことが求められていて、チームの土台になるような部分についてはもう言われない。そこはできて当然という感じになっています」
キャプテンの髙杉亮太が語るとおり、昨季の主力が全員残留したことで、例年よりも早いペースでのチーム作りや、選手間の連携向上、連携向上によるパススピードのアップが見られるようにもなった。
選手たちからも「良い状態で開幕を迎えられる」という声を聞くことが多く、チーム力の上昇に手応えを感じている様子だ。
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