「湘南で成長した自分でもう一度チャレンジしたい」
レッズへの復帰にあたっては、ベルマーレへ完全移籍するか否かで再び葛藤があった。最終的にはベルマーレで成長した姿を、レッズのファンやサポーターに見てもらいたいという思いが上回った。ベルマーレから発表されたリリースには、熱い思いのすべてが凝縮されていた。
「この3年間は僕にとってかけがえのない時間でした。仲間やサポーターとの別れは、僕が決断したことではありますが本当に辛いです。それでも、湘南で成長した新しい自分でもう一度浦和でチャレンジしたい、湘南スタイルで輝きたい。わがままなのはわかっています。でも行きたいんです。行ってきます」
昨シーズンを戦ったチームの解団式では、涙ながらに「いまこのタイミングで戻らなければ後悔する」と偽らざる本音も打ち明けている。試行錯誤しながらも再びスタートラインへ立った山田へ、勝利への責任を背負うという観点から、曹監督からはこんな言葉を聞いたことがある。
「もっと早くそういう経験をしなければいけなかったし、その意味では直輝のサッカーに対する精神的な準備というか、直輝の人生設計が甘かった。ただ、27歳でもう遅いとあきらめるのか、いまからでも変われるのかは考え方次第で全然違うから。その意味ではよくやっていると思います」
そして、レッズへの復帰を決めた山田へは、『育成主義』のなかで「勝負はこれからだ」という檄とともに、曹監督らしいエールを送っている。
<勝利への責任をすべて背負ってプレーしたときに、変わったと言われるのか。やっぱりレッズに戻るとダメなのかと言われるのか。成長したとレッズに関わるすべての人たちから認められるように、自信を抱きながら、身心両面でたくましくプレーしてほしいと思っている>
レッズのインサイドハーフには新キャプテンに就任した柏木陽介、ハリルジャパンにも選出された長澤和輝、柏レイソルから加入した武富孝介らのライバルたちがそろう。覚悟と決意を込めて復帰した愛着深いクラブで、ベルマーレでの3年間で味わったすべてが、山田が前へと進む羅針盤となる。
(取材・文:藤江直人)
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