浦和・堀監督が実感した山田の成長
コンディションも万全だった昨シーズン。開幕からコンスタントに先発を続けた山田は、最終的に39試合に出場。夏場以降はフル出場するケースも増えて、プレー時間は3030分間を数えた。
これまでの自己最多がプロ契約を結んだ2009シーズンの20試合、1365分間だったから、いかに濃密なシーズンをすごしたかがわかる。そして、自分の内側から変化が生じていることに気がついた。
「これだけ試合に出させてもらっていると、チームが勝利することへの責任とは、こんなにも重たかったのかと感じている。いままで年上の選手たちがこんな気持ちでサッカーをやっていたのかと考えると、若い子たちには何も考えることなく、彼らの良さを出さしてあげたいと感じるようにもなりましたね。
チームのために、走れるようになったと自分でも思う。走る距離そのものは変わっていないかもしれないけど、以前は自分勝手に走っていたところがあったのかなと。いまはもっと勝利に貢献しなきゃいけない、もっと自分にできることがあったと、試合が終わった直後によく思うようにもなったので」
27歳にしてたどり着いた理想的な境地。かつての輝きを取り戻し、一挙手一投足を通じてサッカーの楽しさを表現し、なおかつチームのためにという思いがファーストプライオリティーとなる思考回路に、ユース時代に山田を指導し、トップチームのコーチとしても接したレッズの堀孝史監督も目を細める。
「以前は(山田)直輝が望むプレーをやりたい、という面が強かったんですけど。いまも自分のスタイルを出すことは当然ありますけど、よりチームのためにといいますか、チームの勝利のために何を求められているのか、ということを考えるようになったと思います」
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