日本人でも絶対に体は大きくさせられる
サブタイトルに添えた「魂の息吹くフットボール」に関しては、具現化させる道筋が見えていた。J2が定位置となりかけていたベルマーレが、2009、2012、2014シーズンと3度もJ1に昇格する過程を共有してきた。大倉のサッカー観は、ベルマーレのそれと合致する。
ならば、実際にプレーする選手たちをもっと大きく、もっと強くするにはどのようにしたらいいのか。アメリカやヨーロッパとピッチは同じ大きさのはずなのに、選手たちの体の大きさゆえに狭く感じられるような光景を提供するにはどうしたらいいのか。
長く追い求めてきた答えは、株式会社いわきスポーツクラブの親会社で、アメリカのスポーツ用品メーカー、アンダーアーマーの日本総代理店を務める株式会社ドーム(本社・東京都江東区)の安田秀一代表取締役CEOの言葉であっさりと見出すことができた。
「子どものころはアメリカ人も日本人も体の大きさはほぼ一緒だ、と安田は言うんですね。ならば、ある段階から体格の差が出てくるのはなぜなのか。アメリカでは高校生以上になればサプリメントを摂取しているし、大学側は選手たちが食べるということに対して巨大な投資をしていると。
日本人でも絶対に体は大きくさせられる、だからこそマーケティングのひとつとして、フィジカルスタンダードを変えるという大きなビジョンを掲げようと。練習の6割から7割は、筋トレにあてていますよ。それくらい偏ってやらないと何も変わらない、という思いでトライしています」
昨年7月に全面開業した日本サッカー界初の商業施設複合型クラブハウス『いわきFCパーク』の2階には、ドームが運営するトレーニングジム「ドームアスリートハウスいわき」が入っている。室内には最新鋭のトレーニング機器が並び、いわきFCの選手たちが体を日々鍛えている。
プロ野球をはじめとするさまざまなジャンルのアスリートに、専門的かつ科学的な最新情報を提供。トレーニングの方向性をもたせ、競技力を向上させる日本で唯一のパフォーマンス開発機関である「ドームアスリートハウス」に蓄積されたノウハウは、いわきFCにも生かすことができる。