町田への感謝と新しい夢
社会人1年生として町田に赴いてまだ半月だが、今はパソコンを覚えたり、事務作業を学んだりと新たな発見の連続だという。
「FC町田ゼルビアは僕を温かく受け入れてくれたクラブ。ヴェルディで引退して、仕事のなかった僕に新しい可能性を示してくれた。その温かさを感じながら、毎日泣きそうになって仕事してます(笑)。
このチームはホントに風通しがいいし、みんなで町田の町を青くしよう、お客さんを増やそうと必死になって取り組んでいる。その雰囲気も素晴らしい。僕はこのクラブに忠誠心を誓ってまっしぐらに進みたい。
今まではヴェルディに情熱を注いできましたけど、それと同じように町田をJ1に上げること、スタジアムを満員にすることが新たな夢。自分が単純なんで、決めた以上は突き進みます」と本人は語気を強めた。
「見た目で誤解されているかもしれませんが、礼儀とか、きちんとしている人間ですし、仕事も真摯に取り組んでくれています。現役時代からいろいろ考えていたそうで、いろいろなアイデアを出してくれます。
『これはできないだろうな』とか、最初から決めずにどんどん意見を出してくれるので、我々も気付かされることも多いです。感じたこと、思ったことははっきりと言う、そこが平本さんのよいところですね」と同クラブ広報担当の近藤安弘氏も前向きに話していたが、ヴェルディで長く最前線に君臨した大型FWの第2の人生は好スタートを切ったようだ。
将来的には唐井氏のような敏腕GMを目指している平本だが、現役時代からサポーターと接するホームタウン活動などには大いに興味があった。町田でプレーしていた頃には自ら進んで地域の清掃活動にも参加したことがあるし、ヴェルディ時代も「ファンとクラブのつなぎ役として自分を使ってほしい」と進言することが少なくなかったという。
そうやって多彩な角度からクラブ運営に携わり、その奥深さを学んでいこうという強い意欲が今の彼にはある。時間はかかるかもしれないが、多くのことを吸収して自分の進むべき道を明確に見出し、町田や日本サッカー界に貢献できる人間になってくれれば理想的だ。
「谷間の世代の異端児」の今後の一挙手一投足に大きな期待を寄せたい。
(取材・文:元川悦子)
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