チームは公式戦4連勝。中3日で迎えるELの励みに
そして条件の悪さは、敵も同じである。31分、パスを貰ったデニス・ザカリアのもたつきを見逃さず、複数で囲み、自陣でボールを奪う。ユリアン・ヴァイグルは目の前にいるゲッツェにパス。背番号10は、ドリブルでハーフウェイラインを越えると、ペナルティエリアの左、走り込むシュールレにロングボールを送る。本来の切れ味が戻ってきたウインガーは、反対側のロイスにパス。“スピードスター”が右足を振り抜くと、緩い弧を描いたボールは、バーに当たってゴールに吸い込まれた。
ロシアW杯に向けて復活を期す3人がもたらした先制弾。結果的に、このロイスの今季初ゴールが決勝点となった。
後半に入ると、「フットボール」を「プレーするのは難しく」なったドルトムント。ボルシアMGに何度もゴールへ迫られピンチを招いたが、ビュルキの攻セーブもあって、辛うじて凌いでいった。
74分にゲッツェ、79分にロイス、87分にシュールレと、“ドイツ代表トリオ”が交代でピッチを退いていく中、試合のペースを落とし、1点差を守り切って勝利を収める。芝の状態に苦言を呈したスイス代表GKは「とても重要な勝ち点3だ」と振り返った。苦しんだ末に掴んだ「勝ち点3」。ドルトムントは暫定でリーグ戦2位に浮上した。
さらにビュルキは続ける。
「僕たちは多くの自信とともにベルガモとの重要な試合に臨むことができる」
中3日で迎えるのはヨーロッパリーグ(EL)、ラウンド32の第2戦。敵地でアタランタ戦だ。最悪のピッチコンディションにもかかわらず、無失点で勝ち切った経験は、苦しい戦いも予想されるイタリアでのゲームで、助けとなるに違いない。
そして“ドイツ代表トリオ”のコンビネーションは、香川真司の不在を補って余りあるものだった。
22日のELの試合に向けて、収穫を得たボルシアMG戦だった。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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