グエン・クアン・ハイを中心に、ベトナムサッカー界は新時代へ
若い世代がアジアと世界の舞台で力を蓄えて臨んだ今回のAFC U-23選手権。ベトナム全土が熱狂の渦に包まれたこの大会で、グエン・クアン・ハイはチーム最多5ゴールを挙げ、怪我で不調のグエン・コン・フオンを差し置き、一躍主役に躍り出た。
この大会では、森保一監督率いる日本代表が2020年の東京五輪を見据えて21歳以下で臨むなど、必ずしも全チームが23歳以下のベストメンバーというわけではなかったかもしれない。それでも、今大会の若きベトナムの躍進に希望と勇気をもらったという国民は多い。
決勝トーナメント以降、全国各地で実施されたパブリックビューイングでの異常なまでの盛り上がり、U-23代表の凱旋を出迎えた何万人ものサポーター。サッカー熱の高さと愛国心の強さ、日に日に赤く染まっていくベトナムの姿は見る者に畏敬の念すら抱かせた。今大会を機に、選手とサポーターの中でオリンピックやワールドカップという世界の舞台が夢ではなく、明確な目標へと変わったことだろう。
ベトナム代表(U-23代表兼任)を率いる韓国人のパク・ハンソ監督は、同国の躍進について、「多くのメディアが我々の決勝進出を『奇跡』と報じた。だが、まぐれや偶然が起きるのは一度や二度まで。それだけで決勝には残れない。この結果に驚きはない。すべては選手たちのこれまでの努力の賜物。ベトナムサッカーの成長はまだ始まったばかりだ」と話した。
これからのベトナムサッカー界は、今大会でブレイクしたグエン・クアン・ハイをはじめとする若きゴールデンスターを中心とした新時代に突入する。
(取材・文:宇佐美淳【ベトナム】)
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