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瓦解したPSG。CLレアル戦の敗因は? エメリ監督の不可解采配への疑問

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

対照的だったジダン采配。交代策で見事な成果

 対するレアルのジネディーヌ・ジダン監督は、まず68分にカリム・ベンゼマに代えてガレス・ベイルを、そして79分にはアセンシオとルーカス・バスケスを同時投入するという思い切った采配で、ガンガン攻撃に行くぞ、という姿勢をアピールした。

 アセンシオもバスケスも、直前のレアル・ソシエダ戦で活躍して調子は上がっているから、もちろん勝算はあったことだろう。アセンシオは終盤の2得点に絡み、ジダン監督の交代策は見事に成果を出した。

 エメリ監督は、「選手たちのパフォーマンスには満足しているが、結果には納得していない。審判のちょっとした采配が大きなツケとなった。いくつかの判定は疑問であり、試合を通してレアル寄りだった」と試合後にコメントしていた。

 たしかに64分にラビオがルカ・モドリッチを倒したとして受けたイエローカードは、ビデオを見るとまったくファウルではないし、54分のラビオのシュートはライン上でクリアしたセルヒオ・ラモスの腕に当たっていたが、審判はこれをやり過ごした。

 が、レアルの本拠地で彼ら寄りの判定になるであろうことなど想定内なはず。そのあたりも計算に入れて戦略を立てなければ欧州の頂点には到達できないだろう。

 自分の采配が奏功しなかったことをわかっていながら審判のミスを挙げてお茶を濁した、というのならまだ救いはあるが。

 第1レグを3-1で落としたチームが勝ち抜ける確率は33%だそうだ。ネイマールは試合後、「難しいが、不可能なことなんてない」と話した。

 そりゃそうだ。

 昨年は、勝ち抜けの確率100%をバルセロナにひっくり返されてパリは敗退した。ネイマールはその、奇跡の逆転劇を演じた側にいたのだから。

「今日の出来は悪くなかった。でもレアルを破るには、もっと集中してゲームの質を上げる必要がある」

 自分が大エースとしてチームに栄光をもたらす、そのためにネイマールはバルセロナを離れてPSGに来た。3月6日のリターンマッチも彼はあらん限りの力を出し尽くすことだろう。

 ただ、この試合を見て、絶対に勝てない相手ではないとも感じた。PSGにとってレアル・マドリーとの第2レグは、近年で最大の勝負になる。

(文:小川由紀子)

【了】

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