最大の敗因はエメリ監督の采配にあり
しかしこの試合の一番の敗因は、監督の采配だ。
66分にエメリ監督はカバーニを下げて右SBのトマ・ムニエを投入した。カバーニはたしかにこの試合、ゴール前で厳しいチャージにあっていたためボールに触れる回数は少なかった。
終盤、守備により比重をかけるための判断だったことは論理的には理解できる。しかし実際には、カバーニがいることで相手DFをひきつけ、ネイマールやムバッペがより動ける機会を作ることにもなっていた。
カバーニが下がったあとはネイマールとムバッペを2トップにし、ムニエを右サイドバックに入れた代わりにダニエウ・アウベスのポジションを上げたが、これが得策だったとも思えない。アウベスもマルセロにやられていた場面もあったが、この終盤でマークを変えたことで少なからず守備のバランスも崩れた。
レアルは左、つまりアウベスたちの側からさんざん仕掛けていたのに、このシステム変更で、そこにマッチアップすべきパリの右サイドはさらに揺らいでしまったのだ。
そしてトドメが84分の、ロ・チェルソとユリアン・ドラクスラーの交代だ。ロ・チェルソを代えたかったのはわかるが、それならもっと早い時間帯にすべきだったし、交代要員がなぜドラクスラーなのか?
彼はジョーカータイプではないから途中出場には不向き。しかも守備が特段上手いわけでもネイマールとの相性が良いわけでもない。何を求めて彼を送り出したのか? この交代で中盤のバランスも一気に崩れた。
このタイミングでロ・チェルソの代わりに入れるなら、これまでも途中出場からたびたび好プレーで貢献しているハビエル・パストーレ、あるいはムバッペを下げて今季好調のアンヘル・ディ・マリアを入れてもよかった。
さらには、マルセロのプレーはよく知っているはずなのに、この試合中も何度も同じパターンで彼に進入を許し、最後はゴールまで決められた。事前の対策はなかったのか?あったのにそれを選手たちが遂行できなかったのか?といった疑問も残る。
また、センターバックにチアゴ・シウバではなくプレスネル・キンペンベを起用したことが失策だったという声も多い(これについては個人的にはキンペンベでもよかった気がする)。