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瓦解したPSG。CLレアル戦の敗因は? エメリ監督の不可解采配への疑問

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

いくつかのスポットが弱点に。筆頭はロ・チェルソ

レアル戦に臨んだパリ・サンジェルマンのスターティングイレブン。アンカーにロ・チェルソ、左SBにはベルチチェが起用された
レアル戦に臨んだパリ・サンジェルマンのスターティングイレブン。アンカーにロ・チェルソ、左SBにはベルチチェが起用された【写真:Getty Images】

 まずひとつは、いくつかのスポットが弱点になっていたこと。その筆頭はアンカー役のジオバンニ・ロ・チェルソだ。

 このポジションは通常はチアゴ・モッタの持ち場だが、負傷明けでコンディション調整が間に合わないとエメリ監督は判断。冬のメルカートで獲得したレアルOBのラサナ・ディアラも、しばらく実戦から遠ざかっていたため、パリに入団後2試合に出場しただけでは足りない、ということで指揮官が最終的に選んだのが、ここ最近モッタのバックアッパーを務めていたロ・チェルソだった。

 ロ・チェルソは前半、うかつなファウルで相手に際どい位置からFKを与え、その後もペナルティエリアでクロースを倒してイエローカードをゲットしたと同時にPKを献上、レアルに貴重な同点打を与えるきっかけを作ってしまった。

 後半は、すでにイエローをもらっているという思いもあったのだろう。プレスは中途半端。低めで控えているべき場面で高い位置まで上がるなどポジショニングも定まらず、効果的なパスワークもなく、なにより彼自身が自信のないままプレーしていたのか、ボールが渡るたびにヒヤヒヤする、という頼りないプレーだった。相手から見たら、迷わず彼のところから崩しにいきたくなったことだろう。

 左サイドバックのユーリ・ベルチチェもとくに前半は苦戦していたが、レアル・マドリーのような強豪とCLラウンド16で戦うというハイレベルな条件に置かれたことで、ふだんのリーグ戦では見えなかった、PSGの選手達の真の能力があぶり出された感があった。

 ベルチチェやロ・チェルソらは国内リーグでは首位チームの一員として遜色ないプレーができていても、欧州の舞台では力不足だったのだ。

 ラビオは試合後「ディジョン戦では8点入れられても、このような試合ではそういうわけにはいかない」とコメントしていたが、国内で一頭レースをしているがゆえに見えていない弱点がこの試合でさらされた形になった。

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