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移籍市場の裏で暗躍する代理人ビジネスの実態。サッカー界を支配する「カネ」と「コネ」

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

重要性が増す代理人の存在。特定のコネクションがもたらすもの

らいおら
ミーノ・ライオラ(右)は近年の移籍市場の象徴的な大物代理人の1人。バロテッリ(左)ら数々のスター選手を顧客に抱える【写真:Getty Images】

 だからこそ、現在これらのクラブが欲しいのが「カネ」ではなく「ステータス」になるということだ。すでに巨額な放映権料を手にしているプレミアリーグ勢は、CL出場により得る“出演料”を一昔前ほど重要視しなくなっている。しかしながら、欧州のトッププレーヤーはこれまで以上にCLにこだわる傾向があり、これらの選手を獲得するためには「CLのクラブ」であることが絶対不可欠となるのである。

 そして、マルカム氏いわく、こういった状況でより重要になったのが代理人(仲介人)たちの存在だった。

「サッカーファンは新聞やネットを見て、自分のクラブとリンクしている選手の情報を得る。しかしながら、舞台裏ではまるで異なった現実がある。代理人との関係などもあり、クラブは決まった選手たちへのアクセスしか持たないことも少なくない。例えばユナイテッドの場合、2016年にポール・ポグバを獲得したときにクラブの補強戦略に変化が見られている。以降、クラブはポグバのエージェントであるミーノ・ライオラと親密になり、ズラタン・イブラヒモビッチも獲得している。無論ライオラは、ロメウ・ルカクとヘンリク・ムヒタリアンのエージェントでもある」

 そしてこう続けた。

「例えばアーセナルは以前からウィリアム・カルバーリョを狙っている。だがクラブはカルバーリョのエージェントであるジョルジュ・メンデスへのアクセスがない。そのため、マスコミでは獲得の噂がずいぶん前から出ていても、メンデスとの関係が構築されない限りは絶対にありえない話となる」

「誰もが知ってのとおり、シティはアレクシス・サンチェスを欲しがっていた。だがシティが代理人への多額の手数料の支払いを固辞したのに対して、ユナイテッドはこれに同意した。代理人は選手のために仕事をしているのか? それとも自分の私腹を肥やすために仕事をしているのではないかと思ってしまう」

 また同番組には、下部リーグを中心に元プロサッカー選手してプレーし、現在はサッカージャーナリストとなったディビッド・プリース氏も参加し、「以前から代理人の影響力は大きかった」と説明したうえで「ただ現在はそれがより顕著でオフィシャルになっている」と話した。

「監督と代理人の関係や、ほかのクラブと仲の良い代理人同士の関係もある。2人の人間が交渉の席についてもクラブとコネクションがなければ、絶対に移籍は発生しない」

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