ようやく土台が整った札幌。勝負の一年に
札幌は岡田武史監督が退いて以降、長く冬の時代が続いた。債務が積もり、売上は伸びない。そうなると当然、戦力アップは望めない。数年に一度J1に昇格することはあっても、そこで戦えるだけの陣容を揃えることができず、上がっては落ちが繰り返されたのも必然と言えた。
サッカー自体も耐え忍ぶことが多かった。戦力差を埋めるためにはやむを得ないのだが、守備的に戦って耐えて耐えて何とか勝ち点を獲得、そんなサッカーだった。
そういったピッチ内外での辛抱に終わりが来ようとしている。今季の売上予想30億円は、J1では真ん中よりやや下。残留は「夢」ではなく「現実的」な目標となった。また、ミシャという1つの武器も手に入った。「ミシャ式」の浸透は懸念点ではあるが、選手の特性を熟知する四方田がサポートして噛み合えば、上位は難しいにしても中位は射程圏内だ。
ようやく上を目指していく土台が整った札幌。そのためにはまずは今季をしっかりと戦わなくてはならない。野々村が「難しいが妥当だった」と語った、ミシャ監督+四方田コーチ体制。未知数の部分も大いにあるが、この体制が上手くいくかどうかが札幌の今後を占うのは間違いない。大いなる挑戦の一年が始まった。(敬称略)
(取材・文:植田路生)
【了】
(インタビュー全文は『フットボール批評issue19』にてお楽しみください)