Jリーグの村井満チェアマン(左)はジーコ氏(右)の姿勢に影響を受けたという【写真:Getty Images】
Jリーグの新シーズン開幕を前にした15日、都内で2018Jリーグキックオフカンファレンスが開催された。
その中で挨拶したJリーグの村井満チェアマンは、リーグ開幕25周年を迎えるにあたって「この25年をひとくくりで表現してみれば、根を広げた25年だったというように思います」と述べた。1993年に10クラブで始まったJリーグは現在、3部制になり、38都道府県54クラブまでに拡大している。
そうやって裾野を広げてきたリーグが次に目指すべきことは何か。村井チェアマンは「その根をいかに深く深く張っていくか」だと語った。昨年末にブラジルでチャリティマッチを主催したジーコ氏の元をたずね、その思いを深くしたという。
「Jリーグは25年前にジーコとともに幕開けしたと言ってもいいくらい、日本サッカー界に大きな貢献をしてくれました」
1991年に当時日本サッカーリーグ(のちのJリーグ)2部に所属していた住友金属工業蹴球団(現鹿島アントラーズ)に現役引退を撤回してまで加入し、来日を果たしたジーコ。その後1994年まで鹿島に在籍し、Jリーグの黎明期を支えた。
そんなジーコは毎年母国ブラジルでチャリティマッチを催し、多くのスター選手が参加して恵まれない子供たちや貧困にあえぐ人々への支援を募る。その試合を観戦した村井チェアマンは、64歳になったジーコのファン・サポーターに寄り添う姿勢に感銘を受けたようだ。
「ジーコは90分間ほぼ出尽くしておりました。相当疲れているはずなのに、試合を90分間やった後、90分間かけて場内を1周して1人ひとりに握手をして、サインをして、足を引きずるような感じでメディアの方に来ました。そこでまた1時間くらい、彼はメディアに語っていました。
ジーコを見て改めて思ったんですけれども、うまいからサッカーをやるのではなくて、サッカーを通じて貧しい子供たちや恵まれない方々にどれだけ施しができるかという心根で彼はやっているような感じがしました。
彼は非常に深く社会とつながっている感じがしました。また、ファン・サポーターに1時間半かけて1人ひとりと丁寧に握手をするように、お客様に対する深い絆を作っていました。もう一度Jリーグは彼から学ぶ、深く深く社会やファン・サポーターとの絆を作っていく。もう一度原点に帰るべきだと思っています」
Jリーグは今季で開幕25周年。各クラブがホームタウンのある地域に根ざして活動していくうえで、ジーコに学び、原点に帰る。地域社会やファン・サポーターとの絆を大事にしたリーグ運営を村井チェアマンは目指していく。
(取材:青木務、文・構成:編集部)
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