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Jリーグ 7年前

カギ握る内田篤人。アントラーズが取り戻すべき“鹿島らしさ”。まさかの無冠からの逆襲へ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

伝統の継承。そしてもうひとつの相乗効果

両サイドでプレーできる安西幸輝。内田はあこがれの選手だったという
両サイドでプレーできる安西幸輝。内田はあこがれの選手だったという【写真:Getty Images】

 神様ジーコ、レオナルドとジョルジーニョのブラジル代表コンビらがチームの揺るがない幹を形成した黎明期から一転して、Jリーグ全体の合言葉にもなった「身の丈に合った経営」のもと、アントラーズも2000年代に入って日本人選手を幹にすえるチーム作りに転換した。

 そして、歴史と伝統が凝縮されたバトンを受け取ったのが、1998シーズンに加入した小笠原やGK曽ヶ端準(38)の黄金世代だった。当時描かれた青写真には、小笠原たちが30歳になる前後でバトンが次の世代に受け継がれることになっていた。

 しかし、日本サッカー界に訪れた海外移籍の波がアントラーズをも飲み込む。2010年夏に内田、2013年オフには大迫勇也(現ケルン)と、次世代のリーダー候補がヨーロッパへ挑戦の舞台を求めた。

 より高いステージで自分自身を磨きたい、と望む選手たちの思いは否定しない。それでも、かつて一度は海を渡った柳沢敦(現アントラーズコーチ)や中田浩二(現アントラーズフロントスタッフ)、そして小笠原を再び迎え入れたときと同じラブコールは、内田へも送られ続けた。

 まさに機が熟した今シーズン。内田の存在は右サイドバックの補強、常勝軍団に脈打つ伝統の継承に加えて、もうひとつの相乗効果をアントラーズにもたらせている。伊東と安西に見られるモチベーションのアップは、他のポジションにも波及している。

 上海申花(中国)をカシマサッカースタジアムに迎えた、14日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ初戦で、安西は左サイドバックとして先発フル出場。武器であるスピードとスタミナを生かした積極的な攻撃参加に、鈴木常務取締役も及第点を与えている。

 昨シーズンまでの左サイドバックは、ベテランの山本脩斗(32)が孤軍奮闘していた。ポジション争いを白熱化させる安西は、練習試合やプレシーズンマッチで左右のサイドハーフとしてもプレー。3日の水戸ホーリーホック戦では右サイドハーフでゴールを、右サイドバックでアシストを記録している。

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